2017 Fiscal Year Research-status Report
Additive Manufacturingによる潜熱蓄熱型ヒートシンクの構築
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16K06120
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
川南 剛 明治大学, 理工学部, 専任准教授 (20281793)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平野 繁樹 地方独立行政法人北海道立総合研究機構, 産業技術研究本部工業試験場, 研究主任 (40469680)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 熱交換 / 熱輸送 / 機能性流体 / エマルション |
Outline of Annual Research Achievements |
本申請課題では,高機能ヒートシンクとして空隙率を制御した金属多孔体と蓄熱機能を有する相変化エマルションの技術融合による,新たな蓄熱式高度熱交換デバイスの開発とその特性評価を目的としている.このデバイスを実現し技術展開を行うためには,金属多孔質体である高機能ヒートシンクの造形手法の確立,相変化エマルションの基礎物性の把握,およびデバイスとしての特性評価が必要となる.平成29度の研究内容および実績の概要を以下に述べる. (1)金属多孔質構造体の製作手法の確立:前年度の検討において,熱交換器の構成素材となる銅系粉体材料の基礎的な粉体積層造形条件に関する知見が得られた.平成29年度においては,これらの造形条件の知見に基づき,3Dプリンタを用いた銅系粉体材料による小型熱交換器(ヒートシンク)の設計を3D-CADを用いて行った. (2)相変化エマルションの生成条件の確立:D相乳化法によるナノエマルション生成には温度依存性があり,生成時に一定の温度帯(40-50℃)から外れると,生成されたエマルションの平均粒子径が粗粒化したり,安定性が小さくなり粒子の合一・相分離が生じやすくなったりするという新しい知見が得られた. (3)相変化エマルションの強制対流熱伝達実験:前年度までに,D相乳化法によって,分散層に相変化物質であるn-ヘキサデカン(融点18℃)を,分散媒に水を選択したO/W型エマルションの作製手法を確立した.平成29年度においては,作成した相変化エマルションの基礎的熱伝達特性を評価するための実験装置を製作した.装置は循環流路であり,加熱試験部は二重管式熱交換器の構造となっている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究は当初の計画どおりおおむね順調に進んでいる.当初の研究内容に含まれていない研究項目として,前年度の研究から派生したエマルション中に懸濁される相変化物質の過冷却の制御が挙げられる.これについて,新たな研究項目として作成時に界面活性剤を追加で添加する試みを行い,過冷却解除特性の評価を行った.その結果,ある種の界面活性剤において,過冷却を大幅に低減させる効果があることがわかった.しかしながら,そのメカニズムは現状で不明であり,次年度以降に検討を加える予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
現状で当初の予定どおりに研究が進んでいるため,今後も計画の変更なく進める予定である.しかしながら,分担研究者の所属機関が所有するレーザー金属焼結装置金属造形装置は,既設の共有設備であるため他の共同研究や依頼試験等により稼働率が高く,充填粉体全体を交換する必要がある銅系粉体材料を用いた造形を行うことができていない状況である.今後はレーザー金属焼結装置の稼働スケジュールの調整を事前に行い,決められた期間に集中的に試験を行う必要がある. また,エマルションの生成実験実験において,ビーカーレベルでは温度制御することで安定したエマルションの生成方法を確立できたが,タンクレベルに容量が大きくなると,槽内の温度分布の不均一性や,攪拌が十分に行われないなどの状況が発生する可能性がある.今後の実験に必要なある程度の量以上のエマルションの生成手法について,これまでの検討で得られたマグネチックスターラーを用いたビーカーレベル(50~100ml)の生成方法を基に,攪拌機を用いた小型タンクレベル(1L~5L)での生成試験を計画している.
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Causes of Carryover |
当初の計画では,国際会議・国内学会に参加するための旅費を計上していたが,当該年度において事案が発生しなかったため,旅費の未使用相当分を次年度に繰り越した.平成29年度においては,関連するエネルギー関連の国際会議への参加を検討しているため,次年度使用額を主に当該外国旅費に充てる計画である.
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Research Products
(2 results)