2016 Fiscal Year Research-status Report
小型自走ロボットとロボットアームによる分散協調型フレキシブル精密生産法の創出
Project/Area Number |
16K06178
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
渕脇 大海 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 准教授 (20377021)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 良巳 横浜国立大学, 大学院環境情報研究院, 准教授 (10315830)
樋口 丈浩 横浜国立大学, 大学院環境情報研究院, 准教授 (20403652)
前田 雄介 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 准教授 (50313036)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 精密自走ロボット / 協調作業 / ロボットアーム / エンコーダ |
Outline of Annual Research Achievements |
広域誘導の研究では、外界センサとして二次元エンコーダを開発することとした。この理由としてCCDカメラよりも高い時間分解能、距離分解能を有するからである。特殊な二次元格子を設計開発し、四つの光学式リニアエンコーダを組み合わせることで、15mm×46mm程度の範囲をXY二軸で0.1μmの分解能で誘導できることを直動XYステージの機械座標との比較により確認した。±3度程度ならばθ軸の変位検出も可能である。実験では尺取虫ロボットの電磁石のクランプと、圧電アクチュエータの正弦波形状の変位の同期エラーを検出し、歩幅の拡大、誤差の低減に成功した。今後の課題としては0点の検出が挙げられる。 顕微誘導では、内界エンコーダとして、上記の広域誘導用の二次元エンコーダと同じ構成であるが、尺取虫ロボットの二つの脚のXYθ軸の相対変位を計測することで、ロボットの一歩内の精密誘導、精密計測を研究した。一歩内の制御では、バンバン制御と状態FB制御により、目標値±0.5μm、姿勢±0.005x10mradの範囲に、静定時間10msでXYθ三軸変位を静定することに成功した。精密自走ロボットで本研究成果のような三軸サーボ制御の事例はなく、当該ロボットの精密高速制御の可能性を示したと言える。また、カメラ視野に移るツール先端画像の映像により、内界センサの累積誤差をキャンセルする手法についても研究を行った。内界センサの組み込みは終了しているが、FPGAボードによるデータ処理に課題があるため、平成29年度も継続して研究開発を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
外界センサとして採用した二次元エンコーダは、時間分解能で、1000倍以上CCDカメラよりも早く、広域誘導においても、速度制御が可能である。課題としては、誘導範囲の拡大があるが、チェック柄格子の開発、または、面積比4倍となる10cm×10cmまでのスケールの拡大が可能であるため、現状のスケールパターンにおいても、5cm×10cmまでは、原理的に計測範囲を拡大できる。 固定軸を持たないホロノミック精密自走ロボットを、0.1μm、10μsオーダーで、10cm角の範囲での測定に成功したと言える。この成果は精密自走ロボットの分野では、世界初の成果であり、数10cm範囲でのサブミクロン精度の三軸での精密誘導の方法を具体的に示した成果といえる。今後も継続して研究開発を行う。
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Strategy for Future Research Activity |
二次元エンコーダは非常に快調であるため、今後も引き続き研究開発を行う。カメラでの誘導というよりもカメラにより、二次元エンコーダの累積誤差を補正する二つのセンサの相補的な計測システムを開発する。二次元エンコーダにより、広域と精密領域の誘導用の測距センサを同一とすることが出来るが、二次元エンコーダの欠点として、ロボットの3度以上の姿勢変化に対応できない事、スケールをロボットの上部、または周囲に配置する必要があるため、各システム要素の配置が難しくなる欠点がある。内界センサは、一歩内の計測であるが、外部にスケールが不要であるため、狭所での作業、または、ツール先端を軸とする回転動作が必要な顕微作業に適している。そのため、内界センサによるデッドレコニング法についても引き続き研究を行う。また外界と内界センサによりロボットの三軸変位を同時に計測することで、電磁石の滑り、圧電変位の誤差を定量的に算出し、入力波形の補正に応用していく。ロボットアームとの協調作業は、精密自走ロボットに1mm以下の微小物の精密作業を、ロボットアームに1mm以上の対象物の作業を行わせることで、ロボットアームのみでは出来ないμmオーダーの作業を研究・評価し、従来とは異なる特徴を持ったシステムを開発する。
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