2017 Fiscal Year Research-status Report
超高度化鉄道システムのための超高頻度運行の計画・管理の手法に関する基礎研究
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16K06236
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Research Institution | Kogakuin University |
Principal Investigator |
高木 亮 工学院大学, 工学部, 教授 (70272383)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 電気鉄道 / 鉄道信号システム / 超高頻度列車運行 / 列車ダイヤ / 運行計画 / 旅客案内 |
Outline of Annual Research Achievements |
2017年度は,本研究の基盤的アイディアに関する簡易机上検討およびその結果についての論文執筆を集中的に行った。 まず,超高頻度運行に必要な信号システムの挙動に関する簡易計算を多数行い,純移動閉塞,ソフト連結など,本研究の目指す超高頻度・複雑な列車運行の基盤となりうる信号システム技術の可能性や,それら信号システムを適用した場合の列車群の動的振る舞いについて,多くの知見を得ることができた。例えば,従来は駅における発着時隔(ある列車=先行列車=が出発後,次の列車=後続列車=が到着するまでの時間的間隔)は,後続列車が当該駅の手前で一時停止しないよう制御することで短縮可能とされてきたが,純移動閉塞など列車の進行可能距離が先行列車の動きに応じ連続的に変化するシステムの下では一時停止してしまったほうが発着時隔が短くでき,一時停止を防ぐ制御は発着時隔短縮からみて逆効果であることを明らかにした。 また,本研究が目指す超高頻度・複雑な列車運行は,乗客の適切な振る舞いなしには成り立たない可能性がある。その複雑さから,乗客に対して適切な案内を行うことも重要であるが,それにとどまらず,鉄道システム側が乗客に対し若干のコントロールを行う能力を付加することもときとして必要になり得る。そのようなコントロールを可能とする技術を応用することで,特急列車等の長距離列車ではごく当たり前であった「全席指定」を通勤列車に全面的に採用する,という内容を含み,従来なら非現実的とされてきた「全席指定通勤鉄道」の可能性が開けること,およびそのようなシステムによれば通勤混雑の早期の解消可能性など非常に大きな利点が得られることを見いだし,議論を開始した。 このような成果を得たので,2018年度には,より大規模なシミュレーション等によりこうしたアイディアの可能性を確認する作業を行い,研究をとりまとめたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究それ自体は,非常に多くの興味深い検討を進行させており,多くの口頭発表論文等の執筆につながっているという意味で,順調に進展していると考える。しかし,当初の想定とはだいぶ研究の道筋が異なり,基盤的アイディアが多数生まれ,それを簡易的に評価する手順を想定より時間をかけて行うことになっている。本研究の最終目標は,簡易的でない評価のための環境やツールを整備し,それによる評価の実行をすることにあると考えるため,2018年度の成果とりまとめに向け,必要な作業を集中的に行いたい。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度にずれ込んだ作業の量が多いため,やや計画より多めのエフォートを投入し,とりまとめを行いたいと考えている。
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Causes of Carryover |
研究において基礎的・簡易的検討の項目が大幅に増え,詳細検討の部分が先送りとなったため。
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Research Products
(7 results)