2017 Fiscal Year Research-status Report
廃酸を使用したコンクリート用骨材の回収システムの検討
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16K06448
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Research Institution | Tokyo City University |
Principal Investigator |
栗原 哲彦 東京都市大学, 工学部, 准教授 (50262746)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 酸溶解 / 再生骨材 / カルシウム / 廃硫酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度の研究において、カルシウムの含有量が多い骨材では、酸浸漬により骨材自体の溶解を確認した。これは、昨今使用実績が上がっている石灰岩骨材を対象とした場合、本方法では石灰岩骨材の回収は困難であることが容易に予想された。したがって、本年度では、コンクリート用骨材として使用されている4種の骨材を用いて、酸浸漬による骨材への損傷を確認した。使用した骨材は、石灰岩、安山岩、硬質砂岩2種である。その結果、予想どおり、カルシウムを多く含有している石灰岩では、酸浸漬により骨材自体が溶解することを確認した。カルシウムの含有量が少ない骨材では、骨材自体の溶解を確認できなかった(質量減少率は小さいものであった)。さらに、酸溶解後の廃液を対象に、廃液からの成分分離を実施した。溶解後の廃液に濃度28%のアンモニア水を滴下し中和した。滴下後、しばらくすると赤褐色の沈殿物と透明な溶液とに分離した。ろ過して沈殿物を取り去り、透明な溶液に重曹とクエン酸を加え、溶液を炭酸化した。その結果、白色の析出物を得た(炭酸カルシウムと予想)。現在、X線による成分分析を手配している段階である(2017年度中の分析は出来なかった)。 また、廃硫酸を使用した研究に関しては、廃棄物排出者・東京都市大学・東京都との間の契約書等の締結に大幅が時間が掛かってしまい、2017年度において十分な実験を行えなかった。2018年度は研究最終年度になるため、すべてのスケジュールを前倒しにして研究を遂行する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
酸溶解による再生骨材の回収に関して、対象骨材の含有成分の影響や溶解後の廃液からの成分分離に関して、一応の目処が立つ結果を得た。しかし、「研究実績の概要」で述べたように廃硫酸を使用した研究に関しては、廃棄物排出者・東京都市大学・東京都との間の契約書等の締結に大幅が時間が掛かってしまい、2017年度において十分な実験を行えなかったことにより、実験スケジュールを見直す必要が生じてしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は以下の実験を行っていく。 (1)廃硫酸による溶解方法の決定 (2)廃硫酸によるコンクリート溶解実験 (3)回収した再生骨材の品質調査 (4)溶解後の廃液からの成分分離実験(カルシウム分の回収) さらに、平成30年度中までの成果をまとめ、平成31年度に論文投稿を行い、成果を公表する予定である。
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Causes of Carryover |
(理由) 廃硫酸の購入費・送料等および廃液の中和用薬品や廃棄処分費を見込んでいたが、東京都との契約等に大幅に時間がかかり、予算が執行されず残額を生じたためである。 (使用計画) 平成30年度の研究で、廃硫酸の購入費・送料等および廃液の中和用薬品や廃棄処分費に充てる予定である。
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