2017 Fiscal Year Research-status Report
寒冷塩害地域における既存鋼板・コンクリート合成床版の概略・詳細性能評価手法の開発
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16K06466
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
高橋 良輔 秋田大学, 理工学研究科, 准教授 (10371783)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 鋼板腐食分布 / スタッド間隔 / 押抜きせん断耐力 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度の実験においてスタッドが腐食して機能しない場合を想定した,スタッド間隔が大きい場合のはり実験においてせん断耐力が減少しなかったため,合成版においても同様の現象となるか実験により確認した.実験の結果,せん断耐力は減少し,はり部材と版部材では押抜きせん断耐力に対するスタッド間隔の影響が異なることが確認された。また既往の実験供試体とスタッド間隔は等しく,スタッド位置が異なる供試体で載荷実験したところ,せん断耐力はほとんど変わらなかった。したがって,スタッド位置がせん断耐力に及ぼす影響もはり部材と版部材で異なることが明らかとなった。 前年度の実験において腐食モデル化方法について目処がたったため,この方法を用いて合成版部材において鋼板腐食程度と腐食位置が押抜きせん断挙動に及ぼす影響について検討を行った。 その結果,載荷面から45°のひび割れ面として想定した押抜きせん断領域に対して連続した鋼板腐食領域が大きいほどせん断耐力が減少することが明らかとなった。押抜きせん断領域に対して同一の鋼板腐食領域割合かつ力学的には同様の影響が想定される場合であっても,不連続の場合はせん断耐力の現象は小さい。また2辺支持の場合は,鋼板腐食によってより曲げ破壊挙動が支配的になるため,押抜きせん断が生じにくくなることもわかった。 したがって,外観点検の際には,想定される押抜きせん断面内においてより連続した腐食領域が多い場合に留意すべきと言える。 これらは既往の力学的な知見から想定されることであるが,数値解析により具体的に示すことができた。さらなるパラメータに対する解析データの蓄積と整理により,外観点検時における健全性判断指標として導入することが可能となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
乾燥収縮試験を実施する予定であり実験室内に乾燥収縮試験用の設備を整える予定であったが,共有する他の研究者との実験調整が折り合わず合成版の載荷実験および内部ひずみ計測は実施したものの,養生湿度をパラメータとする収縮試験は実施できなかった。また載荷装置の破損により合成版の載荷実験数も予定より大幅に減少した。 研究代表者の機関異動に伴い、研究環境が変化したことが一因である。 数値解析については,昨年度末の方策でスタッド周辺の腐食の影響を検討する予定であったが,予備解析で,部材解析においてスタッド周辺の細かい挙動を再現できずに,スタッド周辺の影響が少ないことが示唆されたため,メカニズム把握よりも腐食分布の影響の検討を先行することとした。
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Strategy for Future Research Activity |
数値解析については比較的順調に進んでいる。 昨年度は既往の実験供試体ベースで,腐食の影響が曲げとせん断に対して混在した形だったため,それぞれをよりはっきりさせるように部材寸法もパラメータとした数値実験により腐食分布の影響を明確にし,腐食によってスタッド破断が生じた際の 評価方法の確立を目指す。 また乾燥収縮の影響についても残り期間を考慮すると実験による把握が困難なため,乾燥収縮モデルを開発・導入し,数値解析による影響評価を行うこととする。この結果から次年度以降の検討の必要性有無を判断する。
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Causes of Carryover |
実験計画の変更により消耗品費が予定より少なかったため残額が生じた。 翌年の解析用の消耗品費として使用する。
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