2017 Fiscal Year Research-status Report
泥炭地盤上に建設された道路の長期沈下挙動のモデル化とLCC最小化の試み
Project/Area Number |
16K06496
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Research Institution | Akita National College of Technology |
Principal Investigator |
山添 誠隆 秋田工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (60760238)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西村 聡 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (70470127)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 泥炭 / 長期沈下 / モデル化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、泥炭の長期圧密挙動の解明とモデル化、および長期沈下に起因するライフサイクルコスト低減に向けた対策技術の検討である。この目的のために実施した2017年度の研究成果は次のとおりである。 ・モデル化の根拠となる実験データの取得については、昨年度から引き続き行い、複数の試料に対して、1ヶ月間に及ぶ長期圧密試験、初期ひずみ速度およびせん断速度を系統的に変化させた三軸圧縮試験を実施した。その結果、すべての泥炭試料に対して圧密時およびせん断時においてもひずみ速度によって応力・ひずみ関係が一義的に決まるアイソタック則に従うことが明らかになった。また、プレロード工法による残留沈下低減の定量的評価のために、荷重撤去後の再沈下挙動についても実験的に調べた。その結果、過圧密比が小さければ、この場合についてもアイソタック則によって説明できる可能性を示した。 ・上記実験結果を踏まえ、アイソタック則に基づき塑性ひずみ速度を状態変数として付加した修正カムクレイモデル(弾塑性モデル)を用いて、昨年度動態解析のとりまとめを行った試験盛土に適用した。その結果、実地盤に対しても長期沈下挙動を含めた圧密挙動を精度よく再現できるという知見が得られた。 ・加えて、長期沈下に対する対策技術の評価・検討を念頭に置いて、無処理およびプラスチックボードドレーン(PBD)で改良された試験盛土の動態解析も試みた。対象とした試験盛土群は土層分布および性状がほぼ均一な基礎地盤上に建設されたものであり、ドレーンピッチが70,90,110cmである。一連の解析を通じて、透水特性の評価には検討の余地を残すものの、PBD改良地盤についても沈下時間変化を良好に再現できることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
約1ヶ月間を要する長期圧密試験、および初期・せん断時ひずみ速度を系統的に変化させた三軸試験は、概ね当初計画のとおりに進めることができた。これは試験に供した試料を同一箇所・同一深度で採取し、バラツキを極力抑える工夫をしたことで再現性の高い試験データを効率的に得ることができたためである。また、無処理およびプラスチックボードドレーン(PBD)で改良された泥炭地盤上に建設された試験盛土のFEM解析に関しては、一部計画を前倒しして進行している。これらの点から、全体としての進捗状況は上記区分にあると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度が本研究課題の最終年度である。これまでは主に要素試験およびシミュレーション、並びに実地盤の現象再現を軸として研究を進めてきた。最終年度では長期沈下に起因するライフサイクルコスト低減に向けた対策技術の検討を推し進めていく。具体的には、近年、泥炭地盤でも積極的に採用されているプラスチックボードドレーン(PBD)工法や真空圧密工法などの圧密促進工法で改良した場合の長期沈下を含む圧密挙動についての検討・評価である。圧密促進工法を適用した地盤の沈下予測を行う上で重要となるのが、改良地盤の透水特性の評価である。しかし、透水係数の異方性やPBD打設時の周辺地盤の乱れの影響などから、この定量的評価は容易ではない。今後の研究では、対策実施効果の検証に必要となる上記特性の実証に注力することを優先したい。地盤改良効果の検証、並びにライフサイクルコスト(LCC)の算出では、上記知見を明らかにすることがとりわけ優先されるからである。
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Causes of Carryover |
試料のサンプリングに細心の注意を払った結果、再現性の高い実験を順調に行うことができ、当初計画通りに研究が進展した結果、研究打合せとして計上していた出張費を抑えることができた。使用計画に関しては、実験に必要な消耗品等に当てる予定である。より多くの実験を行うことは本研究の知見の一般性を高めるためには有益と思われる。
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Research Products
(4 results)