2016 Fiscal Year Research-status Report
複数アンテナと3D建物情報を利用したGNSSによる移動体精密位置決定の研究
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16K06532
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
久保 信明 東京海洋大学, 学術研究院, 准教授 (80343169)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | GPS / GNSS / マルチパス / アンテナ |
Outline of Annual Research Achievements |
複数アンテナからの入力信号を数msの切り替えでスイッチングできる機器を長田電気の協力のもと開発した。当初想定していたスイッチングによる効果を、壁面近くのマルチパス環境で調査した。入力信号の切り替え自体は数msが限界であるが、5つのアンテナ各々にたいして、何ms継続するかを調査した。その結果、壁面近くのマルチパス環境では、1つのアンテナに対して200ms(最短設定時間)から1秒程度で効果があることがわかった。またアンテナの個数については、マルチパス波の遅延距離をまばらに変化させる点から多いほうが適当であることがわかった。
実際の壁面横10m付近での実験結果では、通常の1つのアンテナと今回提案した5つのアンテナの精度を比較すると、最大水平誤差が約5mから約2mへ低減できることを確認した。また標準偏差についても同様に3分の1程度まで低減することができた。一方、問題点も存在した。それは、スイッチングによりGNSSの電波の搬送波位相が途切れてしまい、航法メッセージを解読することが困難であった点である。これは電波環境が良い状態で航法メッセージを取得すれば解消できる点であるが、搬送波位相を積極的に測位に利用できないデメリットがあることがわかった。当初から想定はされていたが、この改善策についてH29年度以降検討する予定である。
H28年度の本成果について、アジアのGNSSの国際学会であるIS-GNSSで発表し(2016年12月)、英語の査読論文にも採択された(Journal of Aeronautics, Astronautics and Aviation、2017年3月)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初想定していた、マルチパス環境での提案手法での誤差低減効果をきっちり確認することができた。また初年度は査読論文まで想定していなかったが、1本英語の査読論文を本内容で通すことができた。現在順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進については、H28年度の課題であるアンテナスイッチング時の搬送波位相への影響をどの程度低減できるのか調査する。それ以外は予定どおり、3D地図を利用したマルチパス誤差低減について研究を進める。
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Causes of Carryover |
当初想定していた作業のうち、学生の人件費として予定していたものを、実作業の多くなるH29年度以降に配分したほうがよいと判断したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
H29年度以降の人件費に利用する予定である。
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