2017 Fiscal Year Research-status Report
複数アンテナと3D建物情報を利用したGNSSによる移動体精密位置決定の研究
Project/Area Number |
16K06532
|
Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
久保 信明 東京海洋大学, 学術研究院, 准教授 (80343169)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | GNSS / RTK / 3D地図 / マルチパス / 直接波 / レイトレーシング |
Outline of Annual Research Achievements |
3D建物地図支援による、GNSSの高精度測位技術開発において、3D地図とGNSSのシミュレーションソフトの開発を行い、その結果を検証した。 高精度測位に必要な情報として、衛星からの直接波が届いているかいないかを判断する点がある。本研究では、東京都内の3D建物情報を複数購入し、複数の場所において、実際の観測データとシミュレーションデータより、直接波受信の判断ができているかできていないかを詳細に検証した。その結果、約80%の確率で、シミュレーションのみで直接波の有無を判断することができることがわかった。丸の内等の高層ビル街の多い場所では、若干この確率が低下した。このときの3D建物地図の精度は約1.5mである。ただし、3D建物データでは判別のできない陸橋や高架下のデータは除くものとした。またレイトレーシングのシミュレーションソフトは予定通り、市販のGPS Studioを利用した。 上記の結果を踏まえて、さらに実際のRTK(cmレベルの高精度測位)の性能がどうなるか評価した。都内の中高層ビル街(海洋大近くの月島周辺)で、GNSS実観測データを用いたRTKの利便性が、約35%であるのに対して、シミュレーションのみで衛星選択をしたRTKの利便性は27%であった。少し違いはみられるものの、シミュレーションのみでRTKの性能をある程度予測ができていることがわかり、新たな知見を得ることができた。 今後、さらにシミュレーションソフトの精度を向上させることが課題である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H29年度の当初の研究計画の内容については、実施できている。本研究に関する国際学会での発表は1件(ITSNTフランス)、国内学会で1件実施しており、1つは査読付きの国際学会発表論文に相当する。現在、査読論文についても執筆中である。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究実績でも述べたように、シミュレーションソフトの精度向上を継続する必要がある。現在直接波の判定精度が約80%程度であり、この値を常に80%以上、できれば90%を目指したい。それには、地図の精度が必要なのかどうも含めて検証する。さらに3D建物地図とGNSSのシミュレーションのみでのRTK等の高精度測位の利便性予測についても、80%から90%程度での一致を目指したい。 H30年度はH28年度とH29年度で提案した手法の2つを同時に検証することが含まれている。H28年度の複数アンテナ方式については、アンテナを動かす手法でも代用できることから、どちらかの手法を踏襲する予定である。またH29年度で提案した手法については、上記で述べたとおり、さらなるシミュレーションの精度改善と、実際にGNSS実観測データに直接波の情報を入力した時の効果について検証する予定である。
|
Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、国際学会への参加経費について別経費をあてることができたことと、3D建物地図の購入を2件としたためである。 今年度の主な使用計画として、シミュレーションソフトの改良と実験及びその解析に当初の想定より力を入れる。GNSSのシミュレーションソフトの改良には学生ではなく産学連携研究員をあてる予定である。また学会発表と査読論文については、予定通り実施する。
|
Research Products
(2 results)