2016 Fiscal Year Research-status Report
市民ファンドを活用した新しい公共空間の形成に関する研究
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16K06629
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
土井 良浩 弘前大学, 大学院地域社会研究科, 准教授 (80736801)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉田 早苗 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 助教 (90313353)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 市民ファンド / 市民コミュニティ財団 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、市民ファンドの仕組みの実態把握に向け、まず、全国の市民ファンド(助成型市民ファンド)の設置状況を調査した。研究計画時に把握していた市民ファンドに加え、関連文献や「市民ファンド推進連絡会」、コミュニティ財団のネットワーク組織である「全国コミュニティ財団協会」の情報を得て、リストの作成を行った。アンケート調査項目設定のため、各市民ファンドが開設しているWebページを用いて、資金源(市民からの寄付割合など)、審査方法(審査主体、公開審査の有無、審査対象、審査段階、現地視察の有無など)、資金提供以外の支援(法制度への対応支援や行政などとの調整/交渉支援の有無、伴走型支援の方法、物品支援の有無など)など必要な情報を収集してデータベース化する作業を進めた。また、上記の全国コミュニティ財団協会の事務局担当者と面会して、本研究の目的や内容について詳細に説明して今後の協力を依頼し同意を得、調査設計上のアドバイスを受けた。 以上を通じて「市民ファンド」にはその設立基盤となる確立した制度がなく、市民が自らのニーズに基づき、社会課題解決のために資金等を集め、市民活動、コミュニティビジネス、社会的起業を行う団体に再配分する仕組みを独自の方法で構築していることが改めて明らかとなった。一方、運営者の法人格を含め、市民が出資する基金の仕組みは非常に多様であり、共通のフォーマットで調査を実施した場合、団体によっては特定の設問に回答不能あるいは、設問の主旨を理解できない状況が発生しうる、との調査デザイン上の課題が顕在化した。これを受け「市民ファンド」の定義と対象範囲を再検証し、アンケート調査項目の原案を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
全国の市民ファンドに関するweb上での実態調査によって、「市民ファンド」の仕組みや構築方法が想定していた以上に多様であることが判明した。全国の市民ファンドを対象とする郵送アンケート調査を平成28年度中に実施予定だったが、的確な回答を得るためには、この調査デザインをより慎重かつ綿密に行う必要が生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究実績の概要に記した「全国コミュニティ財団協会」の事務局担当者は、市民ファンドや市民コミュニティ財団の調査・設立・運営に携わった経験があり、これらに精通しているため、この人物のアドバイスを仰ぎながら調査項目を確定させ、アンケートを実施し集計・分析を進める。また、アンケート調査の補足も兼ねて、全国コミュニティ財団協会が実施している定例会に出席し、加盟している財団の担当者からヒアリングを行うことを考えている。このヒアリングは平成29年度に実施を予定している、ヒアリング調査の対象選定の上で重要な機会になると考えられる。
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Causes of Carryover |
アンケート調査のデザインをより慎重かつ綿密に行う必要が生じ、調査の実施時期が次年度にずれ込んだため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の早い時期に実施予定の、全国の市民ファンドを対象としたアンケート調査の経費として使用する。
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