市民ファンドを活用した新しい公共空間の形成に関する研究

2018 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 16K06629
• Research Institution: Hirosaki University
• Principal Investigator: 土井 良浩 弘前大学, 大学院地域社会研究科, 准教授 (80736801)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 杉田 早苗 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 助教 (90313353)
• Project Period (FY): 2016-04-01 – 2020-03-31
• Keywords: 市民ファンド / コミュニティ財団 / 公共空間

Outline of Annual Research Achievements

平成30年度は、大きく二つの作業をおこなった。
第一に、主要研究対象である「市民ファンド」の仕組みの実態把握、(市民ファンドの助成先団体の)市民まちづくり活動の情報収集を目的に、昨年度まで実施してきた市民ファンドやその助成先団体のデータベース化の追補作業を行った。その上で、これまでの収集してきたデータの集計・分析作業を実施した。具体的には、35の市民ファンドについて、①一般的な活動助成事業、「指定寄付助成事業」や「冠基金」などの各『助成プログラム』を実施するファンドの数、助成金額、期間等について、②市民団体へ資金助成やファンドレイズ支援ではない、様々な『非助成プログラム』の種類や内容の詳細、それぞれの実施団体数等について集計・分析を行った。
第二に、各市民ファンドの仕組みを図式化する作業を行った。市民ファンドと一括りに言っても、団体毎にその事業規模やプログラム等はバライエティに富んでおり、これは、仕組みの典型的形態を抽出するための基礎的作業に位置づけられる。市民ファンドの特徴は、①諸主体（寄付者・会員・助成団体等）の間に位置し、様々な助成・非助成プログラムを媒介にして②諸資源（金・労力・情報等）を循環させ、社会課題を解決する点にある。このため、ファンドの仕組み表現するには、諸主体間で諸資源が出入りするフローをダイヤグラム化することが適切であると考えられる。現在この作業の途上にあるが、全市民ファンドに同様の作業を実施した後、共通の形態を持ったファンド毎に類型化して、それぞれの特徴について分析する作業を行うことになる。

Current Status of Research Progress

4: Progress in research has been delayed.

Reason

昨年度末の研究の視点の変更により必要となったデータベース化の追補作業に加え、科研費以外の他の業務が重なってしまい、調査・分析のための十分な時間を確保することができなかったことが最大の理由である。

Strategy for Future Research Activity

研究推進上最も重要なのは、調査・分析のための十分な時間を確保することであり、研究期間を1年間延長し作業時間を確保した。また、昨年度から研究代表者が市民ファンドの役員に就任したため、市民ファンド間で構築されているネットワークを活用しながら関係者の助言を元に研究を進める。なお、調査対象となる市民ファンド担当者に過剰の負担をかけないようにするため、文献やWeb調査については、これまで同様にきめ細かく実施することとする。

Causes of Carryover

文献・Web調査による市民ファンドの助成先団体情報のデータ化に想定外の時間が必要になったこと等により、研究期間を延長することになり、当初予定していた出張旅費や謝金の支出が発生しなかった。
次年度は、主に出張旅費や謝金に使用する予定である。