2017 Fiscal Year Research-status Report
地方都市における居住の場・住まい方に求める新たな住環境価値のあり方に関する研究
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16K06658
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Research Institution | Kogakuin University |
Principal Investigator |
野澤 康 工学院大学, 建築学部(公私立大学の部局等), 教授 (00251348)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
秋田 典子 千葉大学, 大学院園芸学研究科, 准教授 (20447345)
桑田 仁 芝浦工業大学, 建築学部, 教授 (50276458)
岡 絵理子 関西大学, 環境都市工学部, 教授 (60346187)
松井 大輔 新潟大学, 自然科学系, 助教 (80709816)
星 卓志 工学院大学, 建築学部(公私立大学の部局等), 教授 (90726936)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 住環境 / 価値 / 地方都市 / 市街地像 / 居住 / 住まい方 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、2016年度の成果(研究対象都市である函館市全体のデータ収集とそれに基づく現況把握、2年度目以降の詳細検討地区案の作成と議論)をもとに、典型的と思われる個別の市街地の分析を進めた(研究実施計画③(1))。大きく二分すると、中心市街地と郊外住宅地である。 中心市街地については、歴史的市街地と繁華街(駅前・大門地区、本町・五稜郭地区)に分けて調査・分析を行った。歴史的市街地では、歴史的建造物の店舗への転用の実態を明らかにし、アンケートとヒアリングから、店主・居住者の歴史的環境に対する意識の違いやその変化を把握した。また、繁華街2地区では、前年度把握した人口動向から住宅立地(戸建・共同)の把握を住宅地図などから行い、居住者アンケートによって居住環境に対する考え方を明らかにした。 郊外住宅地については、1960年代後半からスプロール開発された日吉町地区、1970年代から新住宅市街地開発事業により計画的に開発された旭岡団地地区の2つを対象に詳細に調査を行った。さらに新しい時代の住宅地開発については2018年度も継続する。日吉町地区では、開発許可や公社や道・市の団地開発がありながらも、1970年前後にかなり無計画に開発が進んだことを明らかにし、その後、道・市の団地建替と戸建住宅の個別建て替えが進んできていることがわかった。今後、現地調査で目についた空地の発生なども含めて実態を明らかにしていく。旭岡団地地区では、戸建分譲住宅の表札調査によって、住み手の変化や空き家化の実態を行い、ヒアリングによって住宅流通がどの程度起こっているか、どのような可能性が今後あるのか、を把握した。 以上の実態調査と分析をもとに、それぞれの市街地の将来像を構築し、函館市の全体像を議論している。2017年度はこの部分のアイデア出しまで進めてきている(研究実施計画③(2))。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究スタート時に予定していた平成29・30年度の研究実施計画 (1)~(4)の項目のうち、全体のまとめに当たる(3)(4)については平成30年度の実施となるが、(1)(2)については、平成29年度に80%程度実施できている。 特に(1)については、前項の「研究実績の概要」で述べた通り、中心市街地の3地区(歴史的市街地、繁華街2地区)、郊外住宅地の2地区の実態調査、市街地形成・変化の状況調査、それらに基づく分析を概ね終えている。 (2)については、市が策定中の立地適正化計画(案)を入手し、既策定の都市計画マスタープランと合わせて、(1)の典型的地区の考察の素材としている。 以上より、「(2)おおむね順調に進展している」と進捗状況報告することができる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は、まだ調査が完了していない、特に郊外で比較的新しく開発された地区、市街化調整区域に開発された地区について調査を実施していく。これらと前述の各地区の調査・分析結果より、地方都市における「次世代に向けた居住(生活)の選択肢に恵まれた豊かな都市像」の考察・議論を深めていく。 また、最終年度であるため、最終のまとめ(提言の作成)の作業(研究実施計画③(3))、およびシンポジウムまたは公開研究会を開催して(研究実施計画③(4))、研究成果を公開するとともに、今後の議論を誘発していく。なお、このシンポジウムまたは公開研究会は、研究スタート時には東京での開催を予定していたが、現在、函館での開催も視野に入れて準備を始めている。
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Causes of Carryover |
研究グループメンバーのうち、一部のメンバーが、担当する典型的な地区の資料調査に時間をかけたために、現地調査を平成29年度中には実施せず、平成30年度前半に実施することになったことが主な理由である。 これは、主に担当する典型的な地区の追加調査の実施に充てる。
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Research Products
(3 results)