2017 Fiscal Year Research-status Report
第2次大戦後ソウルの都市計画―日本統治期からの継承と変質に注目して
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16K06700
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Research Institution | Kure National College of Technology |
Principal Investigator |
安 箱敏 呉工業高等専門学校, 建築学分野, 准教授 (30725908)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石田 潤一郎 京都工芸繊維大学, デザイン・建築学系, 教授 (80151372)
三宅 拓也 京都工芸繊維大学, デザイン・建築学系, 助教 (40721361)
平井 直樹 清水建設株式会社技術研究所, その他部局等, 研究員 (50724481)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 京城市街地計画 / 市街地計画公園 / 都市インフラ整備 / 京仁地方計画 / 富川 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、植民地期朝鮮半島の近代都市化がどのように進んでいたのかを解明し、第2次大戦後に都市計画様相はどのように変容していったのかを追跡するもので、その研究対象として京城・ソウルの都市計画と京仁地方計画を中心に考察を進めている。 課題開始の初年度(平成28年度)は、研究会と韓国現地による文献調査を中心におこなった。制度全般の史料発掘を進める一方で、1920年代以降第2種公設市場に指定・設置される日用品販売市場などの史料調査をはじめた。目標としていた京城産業都市構想の調査結果については、『近代日本の空間編成史(中川理編著、思文閣、2017年4月)』に収録された「植民地期「京城」の工業都市化と都市計画(石田潤一郎著)」を通して成果一部が発表され、永登浦工業地区を含む京仁工業地域の仁川富平における工業都市の形成背景から都市計画事業内容までをまとめて報告した。 平成29年度は、戦前後期にわたる公園制度とその変遷過程を韓国国家記録院にて原図史料より確かめることで、当該年度の目標としていた防空対策に基づく京城府の都市像の解明を進めた。その成果については、29年度日本建築学会学術大会および日本造園学会日中韓専門家会議を通して発表し、追加発掘した史料をもって継続して30年度の同学会発表を予定している。また、現地研究協力者の金珠也氏(韓国大邱大学校)および中川理教授(京都工芸繊維大学大学院)、砂本文彦教授(神戸女子大学)など関連研究者を招聘するほか、台湾の研究者との現地での研究交流会を開催するなど、意見交換と研究内容の相互検証も同時に進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
課題目標としては、以下の3項目を設定していた。①「京成市街地計画」以前の都市計画構想を把握する、②「京成市街地計画」と「京仁地方計画」が目指していた京城府の都市像を解明する、③ 韓国解放後「ソウル都市計画事業」からみる都市空間変遷を検証する。①と③については、前年度までの研究成果に加え、都市施設(特に都市公園施設や制度)における戦時下の防空対策を検討しその変容過程を明らかにした。具体事例としては、ソウル市内中心部に位置する社稷壇公園、奨忠壇公園、南大門前広場をあげ、1940年代の都市防空に連動する公園施設の変遷様相を解明している。②については、「京仁地方計画」関連史料の調査と収集を先行課題とし、仁川富平の史料調査と並行して京畿道富川・素砂の調査を継続している。同時に同計画地内のソウル九老・陽川等の研究調査も着手している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28,29年度に引き続き今年度研究課題の最終目標である、①戦後復興事業に基づいた都市構想の解明、②「ソウル市再整備計画」における都市構想の解明、③ソウル空間変遷の検証をおこなう。調査方法としては、韓国国家記録院にて1次史料の発掘と現地調査による確認作業を主な方法とし、場合によってはソウル市およびソウル歴史博物館、または、日本国内や韓国以外の研究機関への史料要請も視野に入れ研究を進める。国家記録院については、1969年に政府記録保存所の設置以来、2007年には新書庫(大田本館)が竣工され保存先の整備及び記録物のデジタル化作業も年々進んでいる。史料検索から調査、発掘までのマニュアルを習得しており、発掘した1次史料をもとに研究の完成を図る。
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Causes of Carryover |
(理由) 調査現地での資料複写・書籍購入の際に事前申請等の事務処理を怠り私費で賄う場合が多かった。このことにより、当初予想していた書籍購入費の差額が発生し次年度使用額が生じた。 (使用計画) 論文投稿費としての使用を予定している。また、関連研究者との研究会および勉強会開催の支出に充当することを考えている。
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Research Products
(5 results)