2017 Fiscal Year Research-status Report
骨芽細胞活性の高い表面電荷制御型超親水性チタンの開発
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16K06786
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Research Institution | Japan Fine Ceramics Center |
Principal Investigator |
橋本 雅美 一般財団法人ファインセラミックスセンター, その他部局等, 上級研究員 (20450851)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金高 弘恭 東北大学, 歯学研究科, 准教授 (50292222)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 酸化チタン / 表面電荷 / 骨芽細胞 / タンパク質 |
Outline of Annual Research Achievements |
純チタンを極微量の酸素を含む窒素雰囲気中で熱処理する際に、熱処理温度と保持時間を変化させることによって、正または負に表面電荷を変化させた酸化チタンスケールを形成させた。本スケール上における骨芽細胞の増殖、分化能の評価を行った。骨芽細胞の増殖能に関しては、培養日数3および7日で表面電荷の違いによる増殖能の差はなかった。一方、分化能に関しては、培養日数14日と28日を比較すると、培養初期14日の時点で、未処理のTiに比べて正または負に電荷を有する酸化チタンスケール上では、約1.5倍であることがわかった。しかし、培養日数が28日まで延長すると、表面電荷の違いによる差がなくなり、何れのサンプルもほぼ同等の分化能を示した。 次に、培養初期に表面電荷を有する表面での骨芽細胞分化能の上昇原因を明らかにするために、培養液中で酸化チタンスケール上に吸着するタンパク質の種類と量を金コロイド二次抗体等を用いて行った(培養液浸漬時間1分)。アルブミン(Alb)およびフィブロネクチン(FN)の吸着は、正に電荷を有する酸化チタンスケールおよび未処理のTi基板で促進され、負の電荷を有する酸化チタンスケール上では抑制された。これは、何れのタンパク質も負に電荷を帯びているためと考えられた。さらに、水酸化アパタイトの構成成分であるCaとPの吸着に関しては、未処理Ti上ではほとんど生じないが、正または負の表面電荷を有する酸化チタンスケール上では、吸着量の増加が確認された。初期の分化能の向上原因としては、タンパク質、CaとPの吸着が起因している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度は、大きく分けて以下の2つを目標とした。 1. 表面電荷が正または負の表面での、骨芽細胞増殖能および分化能の評価 増殖能に関しては、未処理Tiとほぼ同等。しかし、分化能に関しては、培養日数が14日と短い場合に、未処理Tiと比べて1.5倍であった。(達成度100%)
(ii)表面電荷の異なる酸化チタンスケール上での吸着タンパク質の種類および構造の評価を金コロイド二次抗体等を用いて行った。 培養時間1分の場合、AlbとFNの吸着量を評価。培養時間を変化させて各種タンパク質の吸着量の変化の調査が必要である。(達成度60%)
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は、表面電荷の異なる酸化チタンスケール上での骨芽細胞の増殖および分化の評価を行った結果、骨芽細胞分化能が培養初期14日の時点で、未処理のTiに比べて正または負に電荷を有する酸化チタンスケール上では、約1.5倍であることがわかった。 平成30年度は、初期の分化能の向上原因を考察するために、タンパク質の吸着量および種類、リアルタイムPCR定量、アルカリフォスファターゼ活性、石灰化結節形成の定量を行う。
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Causes of Carryover |
(理由)平成29年度に行った細胞評価に関して、使用した細胞の状態が悪く、計画通りに研究が進まず約30万円の次年度使用額が発生した。 (使用計画)平成30年度は、骨芽細胞分化の評価において、リアルタイムPCR定量、ALP活性の定量、石灰化結節形成の定量を評価する(担当:東北大学金高)
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Research Products
(7 results)