2017 Fiscal Year Research-status Report
同じ回転運動を遠心力印加と高周波加熱に用いた高温遠心システムの開発
Project/Area Number |
16K06805
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
小野 正雄 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 先端基礎研究センター, 研究副主幹 (50370375)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 高周波加熱 / 機械的周波数 / 遠心加熱 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、遠心力印加時の遠心機ロータの高速回転運動に着目し、静磁場中で非磁性の遠心機ロータを高速回転させることで内包試料のみ誘導加熱して、遠心力印加と高温加熱を両立させる前例のない高温遠心システムの実現を目指している。 H29年度は、主として、最重要課題である高速回転発生システムの高回転化および安定回転化に必要な試料カプセルへの試料装填方法の再検討を行った。開発中の装置には、最高8kHzまでの高速回転が可能なMAS用遠心システムを高速回転発生システムとして採用している。前年度までに試料カプセルと内部試料間の断熱方法の検討を行い、試料にベルト状の断熱材を巻き付ける方法で断熱性を確保し、この状態での高周波加熱の定義を満たす3kHzでの回転速度を達成したものの、重量バランスを取りにくい方法であるため、再セットアップ時の回転成功率が3割以下、3kHzへの到達率が1割以下であるという課題が残った。そこで、遠心カプセルと内部試料間の断熱部に同心円加工した焼結体断熱材を採用することで重量アンバランスの発生を抑え、再セットアップ時の回転成功率が9割以上、3kHzへの到達率が5割以上に改善された。また3kHz以上での重量バランスも維持されるようになり、遠心機の仕様の最高回転速度8kHzまでの実験が可能となった。 また、放射温度計による温度計測環境の整備等を進めた。 H30年5月から強磁場発生装置を用いた加熱試験を実施し、1000℃の加熱温度達成を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実験室の移転に伴い、自由に利用できる予定であった強磁場発生装置が使用停止状態となり、マシンタイムの確保が出来ない状況が生じていた。この問題はH29年度終盤に解消し、H30年度5月以降のマシンタイム確保が可能となったため、H30年度は順調な進展に戻る見込みである。
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Strategy for Future Research Activity |
H30年度5月以降の強磁場発生装置のマシンタイム確保が可能となったため、H30年度は強磁場中での実験に移行する。これまでに永久磁石を用いた予備的な実験にて済ませた高速回転を達成可能な試料装填方法の検討および温度計測方法の検討結果を元に、強磁場と高温環境に対応するために必要な改造を随時行いながら、より高温での回転による高周波加熱を目指す。1000℃での回転による高周波加熱の達成を最終目標とする。
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Causes of Carryover |
(理由) 実験室の移転に伴い、自由に利用できる予定であった強磁場発生装置が使用停止状態となり、マシンタイムの確保が出来ない状況が生じ、当初計画よりも研究計画にやや遅れが生じたため、一部の物品購入計画に変更が生じている。また、当初計画よりも半径が大きな既に所有している遠心システムを用いて開発を進めているが、強磁場環境で安定的な回転が得られるかどうか見極めてから専用品を購入する必要がある。その判断をするための実験が可能となるのが、強磁場発生装置の利用が可能となるH30年度5月であるため、次年度使用額が生じた。 (使用計画) H30年度6月までに、適用する遠心システムの半径を決定できる見込みであり、決定次第速やかに購入に踏み切る計画である。
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Research Products
(2 results)