2017 Fiscal Year Research-status Report
ヒドロキシチロソール生産を指向した微生物の探索、機能解析とバイオプロセス開発
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16K06878
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
古屋 俊樹 東京理科大学, 理工学部応用生物科学科, 講師 (20367064)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木野 邦器 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (60318764)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 生体触媒 / 微生物変換 / 微生物探索 / 有用物質合成 / ヒドロキシチロソール |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、オリーブ由来の有用生理活性物質であるヒドロキシチロソールを、2-フェニルエタノールから合成可能な微生物の取得、および取得した微生物のヒドロキシチロソール生産への応用を目的としている。昨年度(平成28年度)の研究では、tert-ブチルベンゼンを分解可能な微生物は、ベンゼン環のパラ位に対する水酸化活性を示すことを予想し、tert-ブチルベンゼン分解菌を探索した。その結果、Cupriavidus属のtert-ブチルベンゼン分解菌を取得し、本菌株は2-フェニルエタノールからp-チロソールを経由してヒドロキシチロソールを合成可能なことを明らかにしている。 平成29年度は、本菌株のヒドロキシチロソール生産への応用を試みた。まず、本菌株の2-フェニルエタノール変換活性を効率的に誘導可能な炭素源について検討した。本菌株は、リンゴ酸、クエン酸、フェノール、トルエンを炭素源とした場合に液体培地で増殖した。そこで、これらの炭素源で増殖した菌体を回収して、2-フェニルエタノール変換活性を評価した。その結果、フェノールおよびトルエンを炭素源として増殖した菌体において、2-フェニルエタノール変換活性が誘導されていた。つぎに、変換活性が最も強く誘導されたトルエンを炭素源として、培養時間と誘導される変換活性の相関について調べた。その結果、21時間培養後に回収した菌体が最も高い2-フェニルエタノール変換活性を示した。以上より、トルエンを炭素源として21時間培養することで、本菌株の2-フェニルエタノール変換活性が効率的に誘導されることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度は、「取得した微生物のヒドロキシチロソール生産への応用」と、「2-フェニルエタノール水酸化機能の酵素・遺伝子レベルでの解析」の実施を計画していた。前者については、取得した微生物が2-フェニルエタノールをヒドロキシチロソールに効率的に変換可能な培養条件を見いだすことができた。後者の「2-フェニルエタノール水酸化機能の酵素・遺伝子レベルでの解析」については、現在実施中であり、2-フェニルエタノール変換活性が誘導された菌体を二次元電気泳動に供したところ、変換活性が誘導された菌体において強く発現しているタンパク質のスポットをいくつか見いだせており、2-フェニルエタノール変換酵素・遺伝子の同定に向けて予備的な実験データを取得できている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は、「取得した微生物のヒドロキシチロソール生産への応用」と、「2-フェニルエタノール水酸化機能の酵素・遺伝子レベルでの解析」の実施を計画している。前者については、培養条件に加えて反応条件(至適温度・pH・基質濃度、各種添加物の影響等)を検討し、ヒドロキシチロソールの効率的生産を図る。後者については、2-フェニルエタノール変換活性が誘導されているときに強く発現するタンパク質を二次元電気泳動で詳細に解析する。さらに、そのタンパク質の中から2-フェニルエタノール変換酵素を同定してアミノ酸配列情報を取得する。最終的には、アミノ酸配列情報をもとに当該酵素をコードしている遺伝子の同定、および異種発現を試みる。
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Causes of Carryover |
(理由)次年度使用額は比較的小額(2364円)であり、端数として生じた。 (使用計画)次年度使用額は比較的小額(2364円)であり、消耗品費として使用することを計画している。
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