2016 Fiscal Year Research-status Report
検証と妥当性確認(V&V)のための確率論的破壊力学解析基盤システムの構築
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16K06953
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
関東 康祐 茨城大学, 工学部, 教授 (60177764)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 確率論的破壊力学 / オブジェクト指向開発 / 基盤プログラム / 機能拡張性 |
Outline of Annual Research Achievements |
H28年度は、すでに構造解析FEMプログラムに適用済みであるOptionパターンを新たにPFM基盤システムに適用し、基本機能の実装を行った。使用言語としてはポータビリティと実行速度を考慮して、C++を用いた。 PFM基盤システムは、オブジェクト指向開発手法を用いて設計を行い、解析対象を定義するModelクラス群と確率計算を行うProbabilityクラス群に分かれる。Modelクラスは部材(Component)、環境(Environment)、欠陥(Defect)および荷重(Load)からなる。 既存プログラムに機能追加を行う方法には、一般的に、前処理追加、後処理追加、そして処理自体の取り替えの3つがある。これらを受け付けるようにするため、既存プログラムの変換が必要となる。Optionパターンはこの変換を定型化したものであり、(1) 既存プログラムの変更を行わない、(2) 追加機能同士を自由に組み合わせることができる、(3) 機能追加を一つの場所に限定して行う、という3つの特徴がある。C++で記述された基盤プログラムのすべての関数についてこの変換を施した。これによって、将来の機能拡張を基盤プログラムを全く修正せずに行うことができるようになる。追加機能は、別途、機能ごとに独立して作成し、追加することができ、さらに、独立に開発された複数の機能を組み合わせて使用することができる。 基盤プログラムでは、最低限の機能を持ち、一つの条件での破壊確率を評価できるだけのものであったが、温度や荷重などが時間経過に対して変化する時刻歴解析、疲労き裂進展評価などをOptionパターンを用いて追加することができた。 現在のプログラムは実行速度は考慮せず作成しているが、将来の高速化に対応するため、GPGPUを有するワークステーションを導入し、並列高速化技術に関する調査を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H28年度の研究計画は、本申請全体の3つの目標のうち、(1)Optionパターンの適用性確認、である。具体的には、申請者が提案しているOptionパターンをPFM解析プログラムに適用できること、サンプル解析によって不具合なく解析が実行できること、解析結果が他の解析と一致すること、などを確認することである。以上の項目は、いずれも大きな問題なく実施できたので、進捗状況は標記の区分と判断した。 また、次年度に向けて、並列高速化技術であるGPGPU解析の調査・整備も順調に実施できている。
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Strategy for Future Research Activity |
H28年度の研究は順調に実施できたので、H29年度以降も計画通り実施したいと考えている。具体的には、既存のラウンドロビン問題から適切な問題を選択し、その解析に必要な機能の追加を行う。検討項目としては、解析結果の比較、解析環境(メモリや並列計算デバイス)の解析サイズや実行速度への影響などを考えている。
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Causes of Carryover |
一番大きな項目は、人件費であるが、当該研究に興味を持つ学生が応募せず、資料整理・計算機管理は自身で行ったため、人件費が発生しなかった。研究打ち合わせに関する旅費も節約したため、当初計画より少額で済んだため。物品費についても申請時の見積もりと購入金額にわずかだけ誤差が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は解析結果の整理のための人件費、研究成果発表のための国内外での研究集会参加を予定しているため、合わせて使用したいと考えている。
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