2017 Fiscal Year Research-status Report
検証と妥当性確認(V&V)のための確率論的破壊力学解析基盤システムの構築
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16K06953
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
関東 康祐 茨城大学, 工学部, 教授 (60177764)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 確率論的破壊力学 / オブジェクト指向開発 / 基盤プログラム / 機能拡張性 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は、まず、昨年度までに整備した基本機能を有するオプション・デザインパターンを利用した基盤ソフトウェア開発で得た知見を以下の2つの講演会で発表した。発表内容としては、オプション・デザインパターンの説明、先に適用している有限要素法と今回の確率論的破壊力学への適用法の違いなどである。国際会議への参加はもう一つ予定していたが、会議自体がキャンセルされたため、発表は2つにとどまった。 1. Y. Kanto, Option Design Pattern for CAE Software development and its Application to Probabilistic Fracture Mechanics, Invited Paper, the 10th International Conference on Numerical Analysis in Engineering, Banda Aceh, Indonesia, August, 2017. 2. 関東 康祐、OPTIONパターンを用いたPFM解析基盤ソフトウェアの開発、日本機械学会 第30回計算力学講演会、近畿大学、9月、2017. 次に、平成29年度計画である、既存ラウンドロビン問題への適用について、日本溶接協会で行っている確率論的破壊力学国際ラウンドロビン問題フェーズ2(沸騰水型原子炉圧力容器の通常時冷却イベント、低温過剰圧力イベント(LTOP)での破壊確率算出)の解析のために必要となる機能の実装を行った。オプション・パターンを用いた機能追加において、重要な問題は生じなかった。実装した機能の例として、圧力容器内応力の3次式近似、破壊じん性値の温度依存性・中性子照射脆化予測式の追加、などが挙げられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H29年度の研究計画は、本申請全体の3つの目標のうち、(2) 既存ラウンドロビン問題への適用、である。具体的には、日本溶接協会が設定し、解析を行っているPFM国際ラウンドロビン問題フェーズ2を解析するために必要な機能を、申請者が提案しているOptionパターンを用いて追加することである。この目標は大きな問題なく実施できたので、進捗状況は表記の区分と判断した。 ただし、発表を予定していた国際会議が一つキャンセルされてしまったので、研究の公表については、若干の不足は否めない。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度までの研究はほぼ順調に実施できているので、H30年度(最終年度)も計画通りに実施したいと考えている。具体的には、(1) GPGPUボードを用いた並列計算による高速化を試し、どの程度の高速化が見込めるかを確かめる、(2) マニュアルの整備を進め、国内外の研究者からの意見をいただく、(3) 国際会議等で研究成果の発表を行い、潜在ユーザの掘り起こしを図る、などである。
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Causes of Carryover |
(理由) 残額が大きくなった一因は、予定していた国際会議が一つキャンセルされてしまったことである。さらに、学生バイトを募集したが応募がなく、人件費も発生しなかった。また、支出した旅費についても、なるべく節約するように認め、当初計画よりも少額で済んだ。 (使用計画) ワークステーションハードの充実と、追加するGPGPUボードの見直しでより高性能のものとする予定である。
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