2018 Fiscal Year Research-status Report
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16K06955
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
山本 琢也 福井大学, 附属国際原子力工学研究所, 客員教授 (50212296)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
有田 裕二 福井大学, 附属国際原子力工学研究所, 教授 (50262879)
鬼塚 貴志 福井大学, 附属国際原子力工学研究所, 特命助教 (90422336)
土屋 文 名城大学, 理工学部, 教授 (90302215)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ウラン化合物 / 水素吸収放出特性 / 第一原理計算 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、昨年度作成に成功したUNiZn合金についての水素吸収・放出実験のための環境整備を行った。まず、既存水素吸収・放出実験装置の補修、改良と特性評価を行った。残留空気による試料加熱時の酸化を防ぐために、必要な部品交換により真空排気部を改良して到達真空度を10の-5乗Pa台となるようにした。一方で、場合によっては数週間に及ぶ水素吸収・放出反応継続期間に渡って高圧水素雰囲気を維持できるように、高圧反応部のガス漏れ確認と必要な部品交換を行い、最終的に10気圧程度の高圧を3ヶ月以上の間、検出し得る漏れ無しに保持できることを確認した。また、室温から300℃までの温度範囲で、反応容器部の昇降温サイクル試験を行って、その間の水素圧力変化から水素吸収量計算時に必要となる反応部体積補正係数を評価した。さらに、放射性且つ核燃料物質であるウラン化合物を使用する前の予備実験として、非放射性で且つ非核燃料物質でありながら対象ウラン化合物と同様の温度領域で水素を吸収・放出するバナジウム金属を利用して、水素吸収量評価実験を行い、その特性通りの吸収水素量評価を得た。ウラン化合物を用いた本実験時の水素吸収・放出反応の進行と完了は、反応による水素圧力の増減から判断するが、その圧力履歴記録用PCシステムと、それを継続的にネットを通して監視し続けるための通信体制を構築した。実験と並行して、ウラン化合物中の水素状態の第一原理計算について得られた成果をまとめて、9月に行われたエネルギー材料に関する計算物理関連の国際会議にて、またウラン合金水素化物開発研究についての総括を原子力資源活用のための材料開発に関する国際シンポジウムにて、それぞれ報告と議論を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画のうち要となっている新ウラン合金の作成に際し、特に有望とみられる合金に含まれる亜鉛による高温での蒸気爆発の可能性が危惧された。そこで、核燃料物質でない模擬材の使用や、複数の手法での試行を含めた予備実験を通して安全性確認を行った。その過程に予想以上の時間を要し、計画全体に遅れが生じたため、研究期間を1年間延長した。 しかしこれまでに、第一原理法を用いた水素化エネルギーの水素吸収量依存性と水素の占有格子間位置についての計算はこれまでに報告されている実験結果とよく対応し、また、ウラン金属間化合物に共通に見られるウランー水素原子間距離についての新たな共通性を見出すなど、大変重要な成果をあげることができ、関連の国際会議の報告でも好評を得た。 また、計算と実験のさらに定量的な比較を行うための、水素吸収・放出挙動及び反応熱評価実験についても、実験装置の準備が整い、測定を行なう段階になっている。以上のことから、やや遅れながらも目的達成に向けて進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
前項に述べたように計画全体の遅れの原因となっていた新化合物の作成も、これまでに無事終了しており、今後は大きな障害も予想されない。残された1年間の間に、実験装置の準備が整った水素吸収・放出挙動及び反応熱評価実験を行ない、計算と実験の定量的な比較を図る。その結果も含めて、データベースの拡充を図り、ウラン金属間化合物の水素吸収性について総合的知見の確立と新化合物探索への提言をまとめる。
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Causes of Carryover |
研究計画のうち要となっている新ウラン合金の作成に際し、特に有望とみられる合金に含まれる亜鉛による高温での蒸気爆発の可能性が危惧された。そこで、核燃料物質でない模擬材の使用や、複数の手法での試行を含めた予備実験を通して安全性確認を行った。その過程に予想以上の時間を要し、計画全体に遅れが生じたため、合金作成後に予定されていた水素吸収・放出実験などに要する費用の執行が遅れた。そのため研究期間を1年間延長し、第4年度に執行することとした。当該助成金は、水素吸収・放出実験に必要な実験材料や装置部品などの消耗品、実験補助者人件費、実験や研究打合せのための旅費として使用する。
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Research Products
(2 results)