2016 Fiscal Year Research-status Report
分子標的を用いた癌早期発見と癌二次予防の前臨床研究
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16K07141
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高橋 淳 京都大学, 医学研究科, 客員研究員 (80303840)
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Project Period (FY) |
2016-10-21 – 2019-03-31
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Keywords | 癌予防 / 癌早期発見 / 遺伝子改変マウス |
Outline of Annual Research Achievements |
【研究目的】我々は、腫瘍促進因子FEATタンパクがほとんどのヒト癌の細胞質で早期癌の段階から異常に増加していることを見出した。この発見に基づき、FEAT活性を阻害する薬剤で癌化を停止する方法論を着想し、当研究では癌予防法の研究開発を行う。(1)遺伝子改変マウスを用いて、FEATを標的とした癌予防の妥当性を検証する。(2)FEAT結合タンパクを基質として用いるFEAT酵素活性アッセイキットを用いて、FEAT阻害剤を同定し、癌化を早期に停止させる薬剤の開発を目ざす。 【研究実施状況】1)FEATコンディショナル・ノックアウトマウスの作出 がん研究ネットワークメンバーに対する「個体レベルでのがん研究支援活動」の支援を得て作出した相同組換えの起った4クローンのES細胞のゲノムを、PCR及びoutside, inside, neo probeを用いた確認のためのサザン・ブロッティングで解析し、2クローンを選別した。文部科学省新学術領域「先端モデル動物プラットフォーム」の支援を得て、マウス胚盤胞期胚へ注入し、仮親の子宮へ移植してキメラマウスを得る作業を開始した。 2)FEAT酵素活性アッセイキットの作成 コールドショック発現系pCold IIベクター(Takara)を用い、大腸菌Chaperone Competent BL21 Cell (Takara)にFEATを発現させ、テトラサイクリンとIPTGの濃度を最適化した結果、可溶性のHisタグ融合FEATを得た。非変性条件でCo2+レジンよりもNi2+レジンに結合しやすいとがわかり、TALON Metal Affinity Resin(Clontech)からNi-NTA Agarose(Qiagen)に変更し、精製条件を再検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1)ES細胞のゲノムをサザン・ブロッティングで解析する際に、検出する断片のサイズが大きいための技術上の困難 2)Hisタグ融合FEATの凝集しやすさ
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Strategy for Future Research Activity |
1)FEATコンディショナル・ノックアウトマウスの作出と発癌の解析 キメラマウスを正常C57BL/6系統と交配し、PCRとサザン・ブロッティングによりヘテロ接合型マウスを同定する。ヘテロ接合型マウスの雌雄を交配してホモ接合型マウスを得る。CAGプロモーターでCreリコンビナーゼを発現するマウスと、FEATコンディショナル・ノックアウトマウスとを交配し、FEATノックアウトマウスを作出する。表現型の解析として、解剖、組織切片のHE染色・顕微鏡観察、血清生化学的検査を行う。発癌モデルマウスと組織特異的FEATノックアウトマウスとを交配して、発癌がFEAT欠損によって抑制または遅延されるかを観察する。FEAT欠失によって発癌がどのように影響を受けるかを、解剖、HE染色組織の顕微鏡観察などで明らかにする。 2)FEAT阻害剤の同定 FEAT結合タンパクをGST融合タンパクとして大腸菌に発現して精製し、基質として用い、メチル転移反応時に発生する蛍光を検出するアッセイ法を樹立する。このFEAT酵素活性アッセイキットを用いて、京都大学大学院医学研究科の医学研究支援センター「創薬拠点コアラボ」の化合物ライブラリーをスクリーニングして、阻害物質を同定する。FEAT阻害物質をマウスに投与する毒性試験を行う。重篤な毒性の無いFEAT阻害剤が得られたら、それを発癌モデルマウスに投与し、薬剤による発癌抑制効果を調べる。
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Causes of Carryover |
1)遺伝子改変マウス作出が遅れたため、実験動物飼育の費用が次年度使用に延期された。 2)モノクローナル抗体作製のためのタンパク精製が遅れ、外注費用が次年度使用に延期された。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
遺伝子改変動物飼育およびモノクローナル抗体作製の外注に使用する。
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[Journal Article] Phase I clinical trial of a five-peptide cancer vaccine combined with cyclophosphamide in advanced solid tumors2016
Author(s)
Murahashi M, Hijikata Y, Yamada K, Tanaka Y, Kishimoto J, Inoue H, Marumoto T, Takahashi A, Okazaki T, Takeda K, Hirakawa M, Fujii H, Okano S, Morita M, Baba E, Mizumoto K, Maehara Y, Tanaka M, Akashi K, Nakanishi Y, Yoshida K, Tsunoda T, Tamura K, Nakamura Y, Tani K
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Journal Title
Clin. Immunol.
Volume: 166-167
Pages: 48-58
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant