2016 Fiscal Year Research-status Report
大腸癌の分子異常サブタイプ別のmicroRNA解析と次世代診断・標的治療への応用
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16K07145
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
能正 勝彦 札幌医科大学, 医学部, 講師 (10597339)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 大腸癌 / ヒストン / エピゲノム / 分子標的治療 |
Outline of Annual Research Achievements |
大腸癌は前癌病変からの発生経路が単一でなく、また遺伝子異常も多様であることから、その異常のサブタイプ別に癌患者の血中や組織で特異的に発現するmicroRNAを同定する必要がある。それが実現可能になれば診断や治療の個別化が進み、大腸癌患者数の減少や治療薬の選択等により医療費削減に大きく貢献できるものと考えられる。そこで我々は研究期間内に以下の計画を行った。
①バイオマーカー探索としての大腸癌の分子異常サブタイプに基づいた血中microRNA解析 対象は血中と癌組織のDNAとRNA解析が可能な約200例の大腸癌患者。それらの検体を用いて、血中と癌組織におけるmiR-31の両者の発現を比較検討したが、血中でのmiR-31の発現量が少ないためか両者に相関は認められなかった。またアレイ解析でmiR-31以外のmicroRNAに関しても網羅的に解析を行ったが血清サンプルでの発現量が低く、癌組織と血中で相関は得られなかった。 ②従来の分子標的薬剤にmicroRNA阻害薬を併用した新たなオーダーメイド治療の可能性 治療のターゲットとなりうるmicroRNAに関しては細胞株や動物実験を用いて、その阻害薬を抗EGFR抗体薬(cetuximab)に併用することで、更なる抗腫瘍効果が期待できるかどうか検討。その結果、BRAF遺伝子変異陽性の大腸癌細胞株においてのみ抗EGFR抗体薬にmiR-31阻害薬の上乗せ効果が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
血中と癌組織におけるmicroRNAの両者の発現を比較検討したが、血中での発現量が少ないため両者に相関は認められなかった。よって血中だけでなくエクソソーム内のmicroRNA発現についても解析が必要であるため。
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Strategy for Future Research Activity |
エクソソーム内のmicroRNA発現解析を行い、癌組織での発現との相関を検討する予定。また同定されたmicroRNAはポリコームタンパクの変化によるヒストン修飾やDNAメチル化などのエピジェネティックな異常によって制御されている可能性がある。よって遺伝子変異などの分子異常が異なる多種の大腸癌細胞株を用いてポリコームタンパク阻害剤やHistone Deacetylase(HDAC)阻害剤、DNA 脱メチル化酵素などを投与することでmicroRNA発現レベルに変化をきたすか検証する予定。
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Causes of Carryover |
PCR関連試薬を当初の予定よりも安価に購入することができたこと。また学会の旅費も安価な航空券を手配することで経費を節約できたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
繰り越しになった経費はPCR関連試薬の購入に充てる予定。
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Research Products
(4 results)