2017 Fiscal Year Research-status Report
大腸癌の分子異常サブタイプ別のmicroRNA解析と次世代診断・標的治療への応用
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16K07145
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
能正 勝彦 札幌医科大学, 医学部, 講師 (10597339)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 大腸癌 / ヒストン / エピゲノム / 分子標的治療 / EZH2 |
Outline of Annual Research Achievements |
microRNA-31(miR-31)は大腸癌でoncogenicな役割を果たすmicroRNAであり、EGFR下流シグナルを制御することも近年、報告されている。我々は最近、大腸癌でヒストンメチル化酵素であるEZH2がヒストン修飾によりmiR-31発現を抑制的に制御することを明らかにした。よって大腸癌症例においてEZH2の発現レベルは抗EGFR抗体薬の効果予測因子となる可能性がある。そこで、我々はその投与症例を対象にEZH2発現レベルと大腸癌の生存期間との関連を検討した。対象は外科的に切除され、術後に抗EGFR抗体薬を投与されたKRAS(codon 12/13)野生型大腸癌113例。癌部のEZH2発現を免疫化学染色法で検討。またホルマリン固定標本からDNAとRNAを抽出し、EGFR下流シグナルの活性化に関与する遺伝子変異KRAS、NRAS、BRAFとmiR-31発現に関しても解析。それらの分子異常と生存期間との関連を検討した。 その結果、大腸癌においてEZH2発現はnegative(11%)、weak(21%)、moderate(18%)、strong(50%)で認められた。生存期間についてはEZH2低発現群(negativeとweak)では高発現群(moderateとstrong)と比較してPFSとOSはいずれも有意に短かった(log-rank test: P<0.01)。また抗EGFR抗体薬の効果が期待されるmiR-31の低発現群、KRAS野生型、NRAS野生型、BRAF野生型のそれぞれの群に限定して解析してもEZH2低発現群では高発現群と比較してPFSがいずれも有意に短かった(P<0.05)。また多変量解析においてもEZH2低発現群は他の因子(遺伝子変異やmiR-31)とは独立して有意に生存期間が短いことも明らかとなった(P<0.05)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
miR-31を制御するヒストンメチル化酵素のEZH2が大腸癌症例において抗EGFR抗体薬の効果予測因子として臨床応用できる可能性が明らかになったため。
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Strategy for Future Research Activity |
大腸癌の抗EGFR抗体薬投与症例においてEZH2発現はその効果予測のバイオマーカーとして有用である可能性が示唆されたことから、今後、多症例での検証と臨床への応用が期待される。
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Causes of Carryover |
(理由)PCR関連試薬を当初の予定よりも安価に購入できたこと。また学会旅費も安価な航空券を手配することで経費を節約できたため。
(使用計画)繰り越しになった経費はPCR関連試薬の購入に充てる予定。
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Research Products
(3 results)