2018 Fiscal Year Research-status Report
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16K07267
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
神山 勉 名古屋大学, 理学研究科, 名誉教授 (30170210)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井原 邦夫 名古屋大学, 遺伝子実験施設, 准教授 (90223297)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | レチナールタンパク質 / プロトン輸送性ロドプシン / 光駆動イオンポンプ / アーキロドプシン / バクテリオロドプシン / ハロロドプシン |
Outline of Annual Research Achievements |
1)光駆動プロトンポンプ・バクテリオロドプシンの作動機構については、長年にわたる研究により、十分すぎるほどの理解が得られているはず、と思っていたが、微生物型ロドプシンの最近の研究結果を精査すると、バクテリオロドプシンの光反応サイクルの標準モデルを再検討する必要が生じていると言わざるをえない。例えば、光駆動塩素イオンポンプ・ハロロドプシンの反応中間体の構造解析により、イオン輸送サイクルの間に3種類の異性化状態が出現することが明らかにされた。同様な3段階のレチナール異性化反応がバクテリオロドプシンでも起こっていることを示す実験データの報告例はないが、その可能性を否定するデータもない。この可能性を調べるため、バクテリオロドプシンの類似タンパク質であるアーキロドプシン(aR-2)の反応中間体の結晶構造解析を計画し、その実現に先立ち、aR-2の光化学反応のpH依存性を詳しく調べた。その結果、分光学的に識別できる2種類のN中間体(N1、N2)がプロトン輸送サイクルの後半に出現することが明らかになった。これらの中間体でのレチナール色素の構造の差異を結晶構造解析により明らかにすることを目指している。 2)塩素イオンポンプ・ハロロドプシンの骨格を持ったプロトンポンプタンパク質遺伝子を好塩菌シャトルベクタとしてpMPK85, pMDS20に導入して、高度好塩性古細菌Halobacterium salinarumのbop遺伝子欠失株 MPK409に形質転換導入し薬剤耐性マーカー)でスクリーニングする試みを独立して3回繰り返したが、取れてきた株はすべて薬剤耐性への突然変異体で、目的のキメラポンプタンパク質を持った株を得ることができなかった。そこで、コンストラクトを見直し、相同組換えに依存する形ではない方法(プラスミドを維持した状態で発現させる)も併用し、チャレンジを続けている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究代表者の健康面での不調(胆のう炎治療と胆のう摘出手術のための入院生活)により研究計画の遂行に大幅な遅れが生じている。体調が回復してきているので今後の進展に期待したい。
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Strategy for Future Research Activity |
1)ハロロドプシンの13シス異性体(HR’)の高分解能のX線回折データを収集する。 2)プロトン輸送性ロドプシン・アーキロドプシン(aR-2) のN中間体のX線結晶構造解析を行う。 3)低温原子間力顕微鏡による古細菌型ロドプシンの高次構造の解析を行う。
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Causes of Carryover |
研究代表者の健康面での不調(胆のう炎治療と胆のう摘出手術のための入院生活)により研究計画の遂行に大幅な遅れが生じたため、研究期間の延長を申請した。繰り越し金はSpring-8でのX線回折データ収集(旅費及び使用料)のために使用する。
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Research Products
(10 results)