2021 Fiscal Year Annual Research Report
Land-vegetation structure and its evolutionary background of the mountainous forests in the East Asia
Project/Area Number |
16K07509
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
酒井 暁子 横浜国立大学, 大学院環境情報研究院, 教授 (20344715)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 地形ニッチ進化 / 分子系統樹 / 地形-植生構造 / 侵食前線 / 丘陵地 / 樹木 / 東アジア / 系統地理 |
Outline of Annual Research Achievements |
東アジア沿岸域の丘陵・山岳地では複雑な地形構造が植生を規定し、とりわけ丘陵地では、侵食前線を概ねの境界として、地表が安定的な尾根周辺を中心に分布する種群(以降S群)と地表撹乱が卓越する谷周辺に主に生息する種群(同D群)とで植生が明瞭に分化する傾向が代表者らの先行研究によって知られている。本年度は房総丘陵で微地形上の分布が既知の主要樹種について、分子系統樹を作成して地形によって規定される生息地の系統的な保守性について解析を行った。その結果、S/D群のどちらに属すかには系統樹の末端付近で保守的傾向があり、これを反映して全体としては弱い系統シグナルが検出された。また種および上位分類群の地理的分布範囲を調べた結果、属・科レベルにおいてD群はS群よりも東アジアに固有な割合が高かった。本課題により前年までの丹沢山地で行なった先行研究では(Kitagawa et al 2020)、地形ニッチ軸は2種類あり、うち地表の安定性で説明できる優位な軸は、植物史上は比較的新しい地史イベントであるヒマラヤ造山運動に関連した東アジアの地形構造の発達に対応した、派生的なニッチ進化によって生じた軸であると説明した。本研究は地形構造や対象種およびその上位分類群の構成、またニッチの評価方法が異なるが、これと整合的な結果となった。一方で本研究のD群や先行研究のD群該当種には、北半球温帯域に広域分布する属や科の樹種も多く含まれることから、様々な年代・オーダーにおいて獲得した形質を持つ樹種が会合することで、現在の地形構造に対応した植生配列=ニッチ軸が形成されていると解釈した。成果は日本生態学会で報告し、現在論文執筆中である。
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