2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K07530
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
近藤 修 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 准教授 (40244347)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 縄文 / 埋葬 / 人骨 / タフォノミー |
Outline of Annual Research Achievements |
2 次埋葬と思われる縄文人骨埋葬例について、人骨表面に残された情報より、埋葬形成過程の復元を試みることを目的とする。具体的には、1:東海地方縄文晩期遺跡にみられる、盤状集骨葬について、2:関東地方の貝塚遺跡にみられる、多数合葬例や廃屋墓について、3:その他地方の2次埋葬例(集合墓、合葬墓、土器棺墓)について、人骨表面につけられたキズ(損傷)と骨表面の(劣化)状態、付着した土壌等マトリックスの成分分析により、人骨のタフォノミーないしは埋葬形成過程に、骨学的にアプローチする。 H30年度は、縄文時代の二次埋葬例である千葉県権現原貝塚と愛知県保美貝塚の多数合葬人骨について、タフォノミー研究の視点から、埋葬の記載と人骨表面形態の比較を行った。 まず、権現原貝塚の人骨群を同定後、同一個体と判断される左右のペアを作成し、最小個体数を求めた。次に、権現原貝塚の埋葬時の人骨配置図上で、左右ペアの位置関係を明らかにし、多数合葬の埋葬を記載した。さらに両遺跡間の人骨表面の風化度合い、表面の損傷等を比較した。権現原の人骨群には個体間で埋葬過程に差があったという点、権現原・保美両遺跡の人骨表面の風化度合いと損傷程度には異なる点が観察された。権現原貝塚の人骨群は、保美貝塚のものに比べて長期間地上に露出していた可能性があり、2遺跡の埋葬風習の違いが反映されている可能性が考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
多人数集骨葬より、保美貝塚の盤状集骨例を1年目に整理し、2-3年目にかけて、関東地方の権現原貝塚の集骨を整理し、その比較を行うことができた。この比較を通じて、方法的アプローチをさらに良くすることができる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は両遺跡のデータを見直し再分析することにより、方法の改変やより実のある考察を導くためのより個別的な研究目的を設定し、これまでの結果の論文公表を目指す。さらには関東地方あるいはその他地方の縄文遺跡の多人数埋葬例について、対象を拡大していく。
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Causes of Carryover |
計画的に使用した結果、比較的少額のみが残額となったが、来年度に問題なく利用できる。
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Research Products
(3 results)