2020 Fiscal Year Annual Research Report
Effects of deer and planted forests on native tree distribution shift under climate change
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16K07801
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Research Institution | Yamanashi Forest Research Institute |
Principal Investigator |
長池 卓男 山梨県森林総合研究所, その他部局等, 主幹研究員 (50359254)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯島 勇人 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (30526702)
大地 純平 山梨県森林総合研究所, その他部局等, 研究員 (00536279)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ニホンジカ / 剥皮 / 更新 / 亜高山帯針葉樹林 / カラマツ |
Outline of Annual Research Achievements |
気候変動の影響が顕著になりつつあるため、森林分野でもその適応策の考案や研究進展が望まれている。本研究では、気候変動下における樹木分布移動に人工林とニホンジカが及ぼす影響を明らかにし、気候変動適応策としての人工林とニホンジカの管理への提案を行うこと目的として研究を実施した。 2020年度は、南アルプス北岳周辺の登山道は新型コロナウィルス感染症対策として閉鎖されたため、関係者以外は入山していない。登山道沿いに設置した自動撮影カメラによるニホンジカの撮影枚数は、2020年度に撮影枚数が多いカメラもあればこれまでと変わらない撮影枚数のカメラもあった。登山者が少ないことにより、ニホンジカがより多く出現していた場所もあることが推測された。 北杜市須玉町での樹木への剥皮率(調査区内の立木本数に対する剥皮されていた立木数の割合)は、コメツガ天然林<カラマツ人工林<シラベ天然林となっていた。カラマツ人工林では、植栽されたカラマツは剥皮されておらず、人工林内に天然更新したシラベやオオシラビソが剥皮されていた。高標高地の人工林は、もともとは木材を生産することを目的として造成されたものだが、近年では公益的機能を発揮する森林としての役割が期待されている。そのため、その土地に適合して人工林内に天然更新してきた樹種を活かすことが求められているが、そのような樹種がニホンジカによって剥皮されていた。 これまでの研究を通じて、ニホンジカに剥皮や摂食される特定の樹種はその分布域が制限されることから、気候変動下での樹木分布移動に負の影響があることが推測された。カラマツは、高標高にも植栽され剥皮や摂食を受けない樹種であり、その更新場所によっては、分布域を広げることが可能であることが示唆された。
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