2016 Fiscal Year Research-status Report
遺伝子組換え作物に関する社会科学的研究の総括と今後の展望に関する研究
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16K07904
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Research Institution | Miyagi University |
Principal Investigator |
三石 誠司 宮城大学, 食産業学部, 教授 (10438096)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 遺伝子組換え作物 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度は、GM作物についてなされた社会科学的研究に関する主要な文献収集とその内容についての分析を実施した。また、夏期の授業がない期間を活用して北米の生産地および関連企業への現地調査を実施し、最近の動向に関する最新情報を収集した上で、2稿を商業誌に投稿した。
第1稿は、「新しい技術をどう生かす-昆虫食・ゲノム編集から3Dプリンターまで」という形で『農業と経済』誌の2017年1/2月合併号に掲載された。この論文では、注目され始めた食資源としての昆虫、地球温暖化についての産地の対応、ゲノム編集、3Dプリンター等を活用した加工、インターネットと端末を活用した農場経営、そして食べる「感覚」への挑戦、という流れの中で遺伝子組換え作物を含めた食産業全体の変化を包括的に検討した。第2稿は、2017年3月に「進展する現実と社会の選択-遺伝子組み換えが導く可能性」という形で再度『農業と経済』誌に発表した。とくに、2016年5月に全米の科学、工学、医学の3アカデミーが合同で出した『遺伝子組換え作物:経験と展望」のポイントを踏まえ、遺伝子組換え作物をめぐる問題は、科学技術を活用してどのような社会を望むかという価値判断に基づく選択の問題に行きつくことを指摘した。その上で、現在までのわが国における承認済遺伝子組換え農作物の内容を整理し、この技術の応用範囲がこれまでの農作物だけでなく、昆虫や微生物、動物などへの適用により、被る影響が社会全体に及ぶことについて言及し、科学技術に期待をしつつも技術先行、規制後追い型の開発に伴うリスクについての考察と検討を実施した。
以上2稿はいずれも商業誌とはいえ権威ある雑誌での掲載ではあるが、厳密な意味での査読付きフルペーパーとしての学術論文ではない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
北米の生産地および関連企業頭を中心とした現地調査による情報収集の実施および利害関係者との関係再構築については概ね予定通り遂行できた。ただし、収集した文献や資料については、現在分析および検討中である。商業誌への論文投稿は2報実施したものの、フルペーパーの学術論文としては未投稿である。大学改革の流れの中で、平成28年度より全学的な組織改革が実施され、研究者自身も大学院副研究科長と附属農場長を拝命し、個人ベースの研究に避ける時間が極めて限定されてきたことが主たる要因であるが、多くの大学と研究者が同様な状況にあるため、平成29年度でのキャッチアップに全力をあげる所存である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度の第1四半期終了までに既に収集済の文献および資料等に基づき、初年度想定していた、過去の研究の成果と手法の再検証を実施する。その後、内容をフルペーパーの形にまとめ、可能な限り早く投稿を実施する予定である。なお、同時並行で平成29年度に予定していた当初計画を遂行し、平成29年度終了までに研究計画全体の遅れを取り戻す予定である。
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