2017 Fiscal Year Research-status Report
遺伝子組換え作物に関する社会科学的研究の総括と今後の展望に関する研究
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16K07904
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Research Institution | Miyagi University |
Principal Investigator |
三石 誠司 宮城大学, 食産業学群(部), 教授 (10438096)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 遺伝子組換え作物 / イノベーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、昨年度までに収集した文献資料の解析と夏期期間を活用した北米の生産地および穀物流通施設への現地調査を実施し、昨年に引き続き、最近の遺伝子組換え作物および関連情報を収集した上で、2稿を商業誌へ投稿した。また、遺伝子組換え作物をめぐる全体状況を理解する背景として、新聞紙上への担当コラムを活用し、関連するトピックを5稿掲載した。
商業誌へ投稿した第1稿は「世界のGM作物をめぐる状況」という形で『Agrio』誌165号、2017年7月に掲載された。この論稿は、ISAAAの年次報告書を元に、直近の世界の遺伝子組換え作物の栽培状況をとりまとめたものである。過去21年間におけるGM作物の商業栽培の推移を俯瞰し、その中でもブラジルが栽培国として急激に地位を高めていること、中でも可耕地面積に占める遺伝子組換え作物の栽培面積の割合は6割を超えていることを明らかにした。その上で、今後の大きな影響力を持つ中国が、本格的に国内で栽培を行うかどうかが世界の動向に大きな影響を与えることを指摘した。第2稿は、「競争とイノベーションは両立可能か」というテーマで『Agrio』誌、175号、2017年9月に掲載された。こちらは、遺伝子組換え作物の主要な生産企業であるダウ社とデュポン社の合併、中国加工集団によるシンジェンタ者の買収、バイエル社によるモンサント社の買収の概要を分析し、競争とイノベーションの両立を意図する遺伝子組換え作物種子の主要な生産企業の動向を検討したものである。
さらに、年間の研究内容から得た知見を「国際競争力とイノベーション」「不安だが安全、安心だが危険」「EU農業の持続可能性と大豆宣言」「10年後の貿易量見通しから見える世界」「米国から見た農産物輸出市場としての日本」という形で農業協同組合新聞(電子版)のコラムとして掲載した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
文献収集と海外調査を含めやや遅れた進度で進展している。一定のアウトプットは出せているものの、あくまでも商業誌等が中心であり、フルペーパーの学術論文の執筆までには至っていない。組織内の管理業務と研究との時間配分やバランスに苦慮している状態が継続しており、集中かつ連続した研究時間の取得が厳しくなっている。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度に一定の形となる成果を出すため、2018年4-6月にこれまでの成果と暫定的なとりまとめを行い、それを踏まえて7-9月に最新動向を把握するための現地調査を実施する。それらをもとに年内に本研究の全体を出版物としてまとめる方向で取り組く予定である。
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