2016 Fiscal Year Research-status Report
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16K08041
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
下島 昌幸 国立感染症研究所, ウイルス第一部, 室長 (10422411)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷口 怜 国立感染症研究所, ウイルス第一部, 研究員 (60734465)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | STBウイルス / ISKウイルス / 病原性の比較 / 感染受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は日本で分離されたSoft tick bunya (STB)ウイルスについて、そのウイルス学的な性状をIssyk-Kul (ISK)熱の原因ウイルスであるISKウイルスと比較することによってSTBウイルスが日本で熱性疾患を起こしていないか推測し、STBウイルスに対する今後の対応(新規感染症としての対応もしくはワクチンとしての活用等)に役立てるものである。STBウイルスとISKウイルスとはいずれも分類上はナイロウイルス科に属し、ゲノム構造や抗原性が類似することが分かっている。 両ウイルスのin vitroでの増殖性を比較するため、ダニ由来細胞を購入し培養系を準備した。 両ウイルスをそれぞれ9週齢のBALB/cマウスに接種(腹腔、皮下、あるい静脈内)したが体重減少は認められず、また致死性も認められなかった。ナイロウイルス科の別のウイルスHazara (HAZ)ウイルスでも同様であった。両ウイルスをそれぞれ9週齢のIFNAR-/-マウスに接種(腹腔)したところ、接種したマウスすべてが体重減少を示したのち死亡し、STBウイルスによる致死はISKウイルスによる致死より遅い傾向が見られた。 両ウイルスの感染受容体を同定するため、ウイルス糖蛋白質GPのcDNAのクローニングを開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究で行う項目は大きく分けて3つある。2つのウイルスのin vitroでの比較、2つのウイルスのin vivoでの比較、ウイルスの感染受容体の同定である。いずれも開始しており順調といえる。
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Strategy for Future Research Activity |
STBウイルスとISKウイルスの両者について、in vitroでダニ由来細胞を用いて増殖性を比較する。また、IFNAR-/-マウスへの接種量を減らした場合に体重減少や致死に要する日数に差がないか検討する。また、継時的に安楽死させ臓器を回収し、各臓器ごとのウイルスの動態やサイトカインの変動を把握する。ウイルス糖蛋白質をプラスミドより発現させ、VSVベースあるいはレトロ/レンチウイルスベースのシュードタイプウイルスを作製する。
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Causes of Carryover |
予定になかった海外出張(国際緊急援助隊による派遣への対応)により、動物実験の実施時期を遅らせる必要が生じたため。サンプリングはできておりその解析(サイトカインの測定)を次年度以降にすぐに実施できるため、29年度分として請求した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
28年度に行う予定であった解析(サイトカインの測定)は多サンプルを同時に測定するものである。可能であればより多くのサンプルを一度に測定したほうがデータの信頼性も高まる。サンプル数がそろい次第、消耗品を購入して一度に測定しデータを得る。
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