2017 Fiscal Year Research-status Report
地域再生に資する拠り所としての伝統的な祭祀空間のマネジメントに関する研究
Project/Area Number |
16K08130
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
上甫木 昭春 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 教授 (70152858)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川田 佳子 (押田佳子) 日本大学, 理工学部, 研究員 (10465271)
上田 萌子 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 助教 (10549736)
浦出 俊和 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 助教 (80244664)
大平 和弘 兵庫県立人と自然の博物館, その他部局等, 研究員(移行) (90711169)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 祭祀空間 / 地域再生 / モイドン / カミヤマ / 自然インフラ |
Outline of Annual Research Achievements |
モイドンに関しては、指宿市の指定文化財のモイドンを対象として、モイドンの立地環境、空間構成、植物相、祭りなどの行事、管理活動の変容を把握するとともに、モイドンに対する住民意識を探ることで、文化材の指定の効果やモイドンを継承していくための課題を探った。その結果、指定文化財のモイドンに共通する傾向として、複数の神が集合し、その中で森講に集約されていることから、モイドンが中心的な神として祀られていることがあげられる。また、門の世帯数の減少や高齢化により、直会が廃止になった点も共通する。これは、門におけるコミニケーションの機会が減少したことを示唆するものである。文化財指定によるサポートとしては、管理費の支給と補助事業が確認され、モイドンの維持に一定寄与していることが確認できた。現状として、祭りや日常管理に携わる人が減少していることより、管理単位を拡大していくことも今後の課題と考えられる。 奄美大島においては、祭祀空間の構成とその活用状況との関係より、ノロ祭祀およびその祭祀空間の継承状況を探った。その結果、ノロ祭祀が集落行事に集約するという祭祀の変化に対し、ミャーに公民館が建てられる、小学校を活用するといった祭祀空間の変容が確認された。これは、祭祀と祭祀空間が相互に関係しつつ、公を担う役割に変容し、結果として集落全体を文化的空間として保全することに寄与しているといえる。今後、奄美大島におけるノロ祭祀空間を継承するためには、祭祀空間がコニュニティの拠り所として機能できるよう集落行事での積極的活用の継続が望まれる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
鹿児島本土と奄美大島の祭祀空間については、一定の成果が原著論文などにまとまりつつある。しかし、八重山での成果のまとめにやや苦戦している。さらに、関連する祭祀空間として選定した野神、地蔵盆については、現地調査を行いつつあるが、マンパワーの関係で進捗が遅い状況にある。
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Strategy for Future Research Activity |
対象とした祭祀空間の中で、モイドンに関しては、地域再生に資するために、今後取り組むべき課題や方向性などの解明に向けて、さらに研究を進化させたい。他の祭祀空間に関しても、地域再生に向けた多様な視点を意識した戦略的な調査と解析に軌道修正していきたい。
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Causes of Carryover |
(理由)新規の調査対象地の調査とこれまでの調査結果のとりまとめなどの進捗が遅れたため、それに係わる旅費や処理に係わる謝金などが次年度に繰り越したため。 (使用計画)新規の調査対象地の効率的な調査を実施するとともに、これまでの調査結果と合わせた解析作業と取りまとめを実施する。
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