2018 Fiscal Year Research-status Report
電位依存性カルシウムチャネルによる神経プレシナプス基盤構造の分子制御
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16K08223
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
多留 偉功 北海道大学, 薬学研究院, 准教授 (30533731)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 神経細胞 / シナプス / カルシウムチャネル / アダプター分子 |
Outline of Annual Research Achievements |
シナプスは神経細胞間の情報伝達を担う接着構造であり、神経系の情報処理機能を担う基本素子である。シナプス前部(プレシナプス)の中心部位アクティブゾーン(AZ)からの神経伝達物質の放出は、電位依存性カルシウムチャネル(VGCC) などの機能分子群によって厳密に制御されている。その機能的な重要性にも関わらずプレシナプスAZの形成や維持の分子機構には未解明な点が多く、 代表者らは線虫C. elegansを実験モデルとしてAZ形成・維持を支える種々のアダプター分子のはたらきを明らかにしてきた。本研究では、VGCCの局在に重要なアダプター分子RIMB-1について、RIMB-1自身のAZ局在の制御分子機構の解析を進めることで、VGCCの局在・機能調節の理解を目指してきた。平成30年度は、これまで同定してきたRIMB-1局在制御メカニズムに関して、他のAZアダプター分子局在との関連性を含めた詳細な遺伝学的検証を行った。さらに、RIMB-1が関わるVGCCの局在制御について新たに関連分子の順遺伝学的探索を試み、AZアダプター分子UNC-10/RIM の関与を明らかにした。このVGCC局在のRIMB-1とUNC-10/RIMによる冗長的制御は、以前の系統的な候補分子の変異体解析によって見出されていたが、今回の網羅的かつノンバイアスな解析手法による再発見によってその機能的重要性が裏付けられた。これらVGCC制御に関わる相同分子は種々の精神神経疾患に関与しており、本研究の知見は神経科学および創薬基盤探索の双方の見地から重要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在までにアクティブゾーンアダプター分子RIMB-1の局在制御における細胞内トラフィック経路、エンドサイトーシス経路の重要性を候補分子解析・探索的解析から明らかにするとともに、関連アダプター分子およびVGCCの局在制御に関する新規知見も得られており、内容面ではおおむね順調に進捗している。ただし探索的解析における分子同定に当初計画より時間を要したとともに、成果発表の状況に遅れがあるため、研究計画全体として「やや遅れている」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究で明らかとなったRIMB-1、関連AZアダプタータンパク質、およびVGCCの局在制御機構に関して、多角的な検証解析を進めて実証したうえで研究を総括する。また本研究の中で単離された一部の未同定変異体に関して分子実体の解明を行う。現在、研究成果の一部を現在国際学会誌に投稿中であり、残りの成果に関しても順次公表を進める。
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Causes of Carryover |
(理由)受託解析等の実施時期を含めた大幅な計画変更、研究進捗に合わせた成果発表の計画変更によって、次年度使用額が生じた。 (使用計画)受託解析経費、学会発表旅費および論文投稿・出版諸経費として使用する。変異系統の保管機器、解析ハードウェア・ソフトウェアの更新、および恒常的に使用する実験動物飼育用培地・プラスチック資材、分子生物学実験試薬、光学機器消耗品などの物品費として充てる計画である。
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Research Products
(1 results)