2016 Fiscal Year Research-status Report
新しいHDL機能制御タンパク質の活性発現機序の解明と創薬への応用
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16K08236
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
奥平 桂一郎 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(薬学系), 准教授 (10425671)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 脂質 / リポタンパク質 |
Outline of Annual Research Achievements |
高密度リポタンパク質(HDL)は血中濃度が高いほど動脈硬化性疾患のリスクが減少するとされ、その本態は、HDLが末梢組織(動脈硬化巣)に蓄積した余剰脂質(コレステロール、リン脂質)を膜トランスポーターABCA1またはABCG1を介して引き抜き(脂質搬出反応)、最後は肝臓へと運ばれ異化されるという、いわゆる「コレステロール逆転送」活性にある。人工的に作製したHDL様粒子を投与して一時的にHDL濃度上昇を促すことにより、動脈硬化病変が縮小したという臨床知見が報告されており、HDLには積極的な病態治癒効果があることが証明されている。本研究では、HDL上のアポリポタンパク質A-I (apoA-I)に結合するapoA-I binding protein (AIBP)の生理的意義の解明を目的とした。平成28年度は、まず、大腸菌発現系で作製したリコンビナントAIBPタンパク質のapoA-I及びHDLへの結合について検討した。AIBPは、HDL、apoA-Iまたは大腸菌発現系で作製したリコンビナントapoA-I、リン脂質とのディスク型人工HDL粒子に対して、すべて同程度結合することが明らかとなった。このことは、AIBPはapoA-Iと直接結合しており、その結合はapoA-Iの二次構造に依存しない可能性が高いことを示唆している。さらに、細胞からのapoA-I及びHDL依存的な脂質搬出活性に対するAIBPの効果を検討したところ、AIBPはapoA-Iによる脂質搬出反応に対しては影響を与えなかったが、HDLによる脂質搬出反応を有意に増加させることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
AIBPの脂質搬出反応への影響などが明らかになっており、概ね当初の予定どおり順調に進んでいると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
予試験的結果において、AIBPが脂質搬出反応だけでなく、炎症を顕著に抑制することが示唆された。そこで今後はマクロファージ等を用いた炎症反応に与える影響についても、メカニズムを含めて検討する予定である。
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Causes of Carryover |
血清一括購入のための費用を翌年度に繰り越した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度の予算とあわせて、血清購入の費用にする予定である。
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Research Products
(7 results)
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[Journal Article] Targeted degradation of proteins localized in subcellular compartments by hybrid small molecules.2016
Author(s)
Okuhira K, Shoda T, Omura R, Ohoka N, Hattori T, Shibata N, Demizu Y, Sugihara R, Ichino A, Kawahara N, Itoh Y, Ishikawa M, Hashimoto Y Kurihara M, Itoh S, Saito H, Naito M.
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Journal Title
Mol Pharmacol.
Volume: 91
Pages: 159-166
DOI
Peer Reviewed
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