2018 Fiscal Year Research-status Report
新しいHDL機能制御タンパク質の活性発現機序の解明と創薬への応用
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16K08236
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
奥平 桂一郎 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(薬学域), 准教授 (10425671)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 脂質 / リポタンパク質 |
Outline of Annual Research Achievements |
高密度リポタンパク質(HDL)の血中濃度が高いほど、動脈硬化性疾患のリスクは減少する。HDLは、末梢組織および動脈硬化病変からの余剰脂質(コレステロール、リン脂質)の引き抜き(脂質搬出反応)や、抗炎症作用、抗酸化作用など、様々な効果により抗動脈硬化的に作用する。本研究では、HDLの抗動脈硬化作用に関与することが示唆されているapoA-I binding protein(AIBP)について、その役割と生理的意義との解明を目的とした。 前年度において、ヒトマクロファージ細胞に対して、大腸菌発現系にて作製したAIBPタンパク質がリポポリサッカリド(LPS)によって誘導される炎症性サイトカインの発現を減少させることを明らかにした。そこで平成30年度は、作製したリコンビナントAIBPのin vivoでの抗炎症効果について評価した。LPSをマウスに腹腔内投与し、2時間後に血液を回収して炎症性サイトカインであるTNFの量をELISA法により測定したところ、投与後1-2時間で血液中のTNF量は大きく上昇した。これに対して、AIBPを静脈内に単回前投与したマウス個体ではTNF量の増加が抑制される傾向を示し、AIBPは生体においても抗炎症作用を示すことが明らかとなった。さらに、動脈硬化モデルマウスを作製し血液中のAIBP量を測定したところ、動脈硬化の進展とともにAIBP量が増加することが明らかとなり、AIBPが生理的な抗動脈硬化的因子であることを強く示唆した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
作製したリコンビナントAIBPを用いて、細胞およびマウスで抗炎症作用を示す結果を得ており、概ね当初の予定通りに進んでいると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、細胞およびマウスを使った実験によりAIBPの抗炎症効果のメカニズム解析を行い、さらに、AIBPの生理的な役割について検証する。
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Causes of Carryover |
理由:一部の物品が3月に納品となり、支払いが完了していないため。 使用計画:全ての物品の支払いが4月に完了予定である。
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