2016 Fiscal Year Research-status Report
フィンゴリモドのアレルギー疾患への適用と免疫抑制を目指した抗体医薬品の開発
Project/Area Number |
16K08409
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Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
八木 秀樹 国際医療福祉大学, 薬学部, 教授 (40250740)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | スフィンゴシン 1-リン酸 / S1PR4 / モノクローナル抗体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、多発性硬化症の特効薬として承認され、ブロックバスターでもあるフィンゴリモド(FTY720)のアレルギー疾患に対する適応拡大とその作用機序に類似した作用を示す新規抗体医薬品開発を目指したものである。近年、リンパ球の血液やリンパ中への移出に関与することで注目されている脂質メディエーター、スフィンゴシン 1-リン酸(S1P)の受容体(S1PR)に着目、S1PR1-5に対する機能的モノクローナル抗体(mAb)の作製を試み、既にS1PR1, S1PR2, S1PR3, S1PR5に対するmAb作製を成功している。これらに加え新たにS1PR4に対するmAbを作製すべく、現在研究を推進している。これらmAbに認識されるS1PRサブタイプのアレルギー発症メカニズムへの関与についての検証を通じて、関与するS1PRサブタイプに対するmAbをシーズとした抗体医薬品の開発へと発展させることも目指している。すなわち、各種リンパ球サブセット上のS1PRサブタイプ発現と機能を鑑み、アレルギー性疾患モデル動物を用いた実験により、アゴニスト又はアンタゴニスト活性を有するmAbを用いた治療効果を検証することを目指している。 今年度は、GFP融合マウスS1PR4を組込んだベクターを作製し、RH7777, HEK293, CHO細胞にトランスフェクションし、各種トランスフェクタントを作製した。結果、各S1PR4の安定膜発現株を樹立できた。GFP融合マウスS1PR4発現RH7777細胞をF344/Nラットに免疫を4回行った。血清抗体価の上昇をGFP融合マウスS1PR4発現HEK293細胞にて確認を行い、細胞融合の準備を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
FTY720を用いたアレルギーモデル動物の治療実験 卵白アルブミン(OVA)を用いたアレルギー性下痢モデルの作製には成功したものの、病態解析については、あまり進んでいない。現在、今年度予算にて購入したgentleMACSにて小腸上皮間リンパ球や固有層リンパ球の解析に着手した。 オキサゾロンにより誘発される接触性皮膚炎モデルマウスの作製には成功したものの、病態解析についてはあまり進んでいない。
マウスS1PR4に対するモノクローナル抗体作製については、以下のように進行している。 GFP融合マウスS1PR4を組込んだベクターを作製し、リポフェクタミン法にて各種トランスフェクタント(RH7777, HEK293, CHO)を作製、マウスS1PR4安定膜発現株の樹立に成功した。GFP融合マウスS1PR4発現RH7777細胞をF344/Nラットに1回目はフロイントの完全アジュバントとともに、2回目以降は腹腔内へ投与した。4回目の免疫後7日の免疫血清中の抗体価の上昇をGFP融合マウスS1PR4発現HEK293細胞を用いたフローサイトメトリー法にて確認した。
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Strategy for Future Research Activity |
マウスS1PR4に対するモノクローナル抗体作製 前年度までに血清抗体価の上昇の認められたGFP融合マウスS1PR4発現RH7777細胞を免疫されたF344/Nラットの脾臓と所属リンパ節を用いて、マウスミエローマとの細胞融合を行い、GFP融合マウスS1PR4発現HEK293細胞を用いたフローサイトメトリー法にてモノクローナル抗体のスクリーニングを行う。作製できた抗マウスS1PR4抗体を含む、各種抗S1PRsを用いて、各種リンパ組織(胸腺、脾臓、リンパ節、骨髄、パイエル板、腸管、肝臓、肺、皮膚)でのS1P受容体発現解析を行う。
S1PRトランスフェクタントを用いた各種受容体の機能解析 GFP融合マウスS1PR1-5安定発現HEK293及びRH7777細胞を用いて、S1P又はS1P agonistであるSEW 2871、そして FTY720-Pを1-100 nM添加し、GFPの細胞内局在を蛍光顕微鏡で経時的に観察する。Internalizationが確認されてから、リガンドを洗浄して取り除き、その後の受容体の変動を解析する。GFP融合マウスS1PR1-5安定発現CHO細胞を用いて、Boyden chamber法にてS1P又はS1P agonistであるSEW 2871やFTY720-Pに対する遊走能を測定する。
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Causes of Carryover |
今年度、予算申請していたミルテニーバイオテク㈱社のQuadroMACS Starting Kit (LS)・130-091-051(1キット)についてはアレルギー病態モデルの研究の進捗がやや遅れていたために、購入に至らなかった。このために30万円余ほど未使用となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度にはアレルギーモデル動物等の病態解析が進行するものと考え、ミルテニーバイオテク㈱社のQuadroMACS Starting Kit (LS)・130-091-051(1キット)も購入したいと考えている。
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Research Products
(2 results)
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[Journal Article] Specific niches for lung-resident memory CD8+ T cells at the site of tissue regeneration enable CD69-independent maintenance.2016
Author(s)
Takamura S, Yagi H, Hakata Y, Motozono C, McMaster SR, Masumoto T, Fujisawa M, Chikaishi T, Komeda J, Itoh J, Umemura M, Kyusai A, Tomura M, Nakayama T, Woodland DL, Kohlmeier JE, Miyazawa M.
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Journal Title
J Exp Med
Volume: 213
Pages: 3057-3073
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research