2018 Fiscal Year Research-status Report
解剖前撮影CT画像を活用した肉眼解剖学的研究の推進
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16K08445
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
岡本 圭史 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 准教授 (50152343)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
弦本 敏行 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 教授 (60304937)
佐伯 和信 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 講師 (80195966)
大神 敬子 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 助教 (80812924)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | CT画像 / 肉眼解剖学 / 腎動脈 / 肺静脈 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度の長崎大学医学部の解剖学実習に使用させていただいた遺体30体の中でCT画像を得ていたのは14体であった。しかし、この中で腎動脈の破格は画像からは確認できなかった。実際の解剖でも腎動脈の破格は30例のいずれにも確認されなかった。それで平成31年3月の解剖学会総会・全国学術集会では平成28年~30年までの所見を「解剖前CT画像と解剖所見の対比 ―低位過剰腎動脈を中心に―」と題してまとめて発表した。また、各年度における出現頻度にバラツキがあることから研究期間の1年延長を申請した。なお平成29年度の解剖学実習で遭遇した最も注目された破格は左上肺静脈が左腕頭静脈に注ぐ肺静脈の部分的還流異常例である。CT画像を得ていない解剖体で認められたものであるが、生体のMDCT画像では確認が可能であると報告されている。この例については現在、Case Report の論文“A case of Partial Anomalous Pulmonary Venous Return from the left lung “として Surg. Radiol. Anatomy に投稿中である。また、これまでの成果は2019年8月9日~11日にロンドンで開催される国際解剖学会にMorphological Significance of Anatomic Variations and Utilization of 3D-CT.と題してポスター発表の予定である。なお、筋系については大腿四頭筋の過剰頭についてCT画像も活用して研究を進めている。平成30年度には順天堂大学医学部の解剖学実習を見学する機会を得られたのは幸いであった。さらに東京大学医学部の貴重な医学書を閲覧する機会も得られて幸いであった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
CT画像で認識可能な変異例は限られていて、最も明らかなのは低位過剰腎動脈だと判断された。それ故この動脈を中心に調べてきた。毎年、数例ずつ確認されてきたが、平成30年度は一例も確認されなかった。年度によって出現頻度にバラツキが生じる可能性が考えられた。研究期間の一年延長を申請して承認された。全体としてはCT画像獲得遺体40例中7例とまずまずの出現と確認を確保していると云えるかも知れない。
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Strategy for Future Research Activity |
CT画像の3Dによる解読がこの研究の鍵を握っているともいえるのでまずその点に力を注ぎたい。その後の肉眼解剖学的所見はそれに基づいて精細に得られるようにしたい。変異例を元に個体発生と系統発生の観点から形態形成の原則を探究する方向に研究を進めたいと願っている。
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Causes of Carryover |
CT画像読影のために放射線科医に依頼を行わなかったので、そのための人件費・謝金の拠出がかからなかったこと、旅費が比較的低料金の飛行便を確保できたことなどによる。次年度には国際解剖学会への出席も予定してあり、解剖学関連の備品の補充も行いたい。
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