2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K08547
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
西村 有平 三重大学, 医学系研究科, 教授 (30303720)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 利男 三重大学, 医学系研究科, 教授 (00135443)
川瀬 玲子 三重大学, 医学系研究科, 技術補佐員 (50746740) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 肥大型心筋症 / 公共データベース / オミックス解析 / ゲノム編集 |
Outline of Annual Research Achievements |
肥大型心筋症は、一般人口の1/500~1/1000人に認められ、不整脈や心不全、運動時の失神や突然死を生じるが、その病態は不明な点が多く、有効な治療法も確立していない。肥大型心筋症の約半数は家族性の発症を認め、サルコメア蛋白質をコードする遺伝子の変異が主要な原因となることが明らかにされているが、原因不明の肥大型心筋症患者も多く、肥大型心筋症の発症メカニズムの解明と、有効な治療方法の確立は喫緊の課題となっている。我々は、αミオシン重鎖遺伝子変異、αトロポミオシン遺伝子変異、ヒト型フォスフォランバン遺伝子発現、フラタキシン遺伝子変異、または大動脈結紮による肥大型心筋症モデルマウスの心臓における網羅的遺伝子発現データを公共データベースから入手し、これら5種類のモデルに共通する遺伝子発現変化を解析した。その結果、4個の遺伝子(myosin heavy chain 7, connective tissue growth factor, periostin, reticulon 4)の発現が、5種類の肥大型心筋症モデルに共通して増加していることを見出した。一方、酸化ストレスを制御するGlutathione S-transferase kappa 1(Gstk1)の遺伝子発現は5種類の肥大型心筋症モデルすべてにおいて低下していた。そこでゲノム編集技術を用いてgstk1ノックアウトゼブラゼブラフィッシュを作製し、心機能を解析したところ、心室拡張末期容積が有意に低下することを見出した。また、gstk1ノックアウトゼブラゼブラフィッシュでは、myosin heavy chain 7の発現が有意に増加することを見出した。これらの結果は、GSTK1の発現低下が肥大型心筋症の発症に密接に関与することを示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度の研究計画は順調に進展し、論文発表することができた(Frontiers in Pharmacology 7: 162, 2016)。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は、GSTK1低下による肥大型心不全発症メカニズムについて研究を進める。
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Causes of Carryover |
当初予定よりも旅費が小額となったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
消耗品の購入に使用する。
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