2017 Fiscal Year Research-status Report
抗腫瘍血管新生能を持つPECAMアンタゴニストの探索と解析
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16K08601
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
北爪 しのぶ 国立研究開発法人理化学研究所, 疾患糖鎖研究チーム, 副チームリーダー (80301753)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 血管内皮細胞 / 腫瘍血管新生 / PECAM / 糖鎖 / シアル酸 / VEGFR2 / アポトーシス / インテグリン |
Outline of Annual Research Achievements |
私達は最近、血管内皮細胞に特異的に発現する接着分子PECAMがα2,6-シアル酸特異的に結合するレクチン活性を持つこと、α2-6シアリル化糖鎖を添加するとPECAM同志の相互作用が失われて細胞表面に停留できなくなり、PECAM依存的な生存シグナルを細胞に伝達できなくなることを明らかにした(S. Kitazume et al J. Biol. Chem. 285, 6515, (2010)、S. Kitazume et al. J. Biol. Chem. 289, 27606 (2014))。2017年度は化合物ライブラリーを用いてα2-6シアリル化糖鎖をミミックするようなPECAMアンタゴニストとなる化合物探索を引き続き進め、複数の候補化合物を見出した。また、本研究の根幹となる発見は、α2-6シアリル化糖鎖を欠損させたなマウスにおいては腫瘍内の血管新生が特異的に減退し、その結果、腫瘍の壊死が亢進するというものであり、Oncogeneに投稿していたが、レビュアーからいくつかの追加実験を求められた。まず、ポリライゲーションアッセイによって、α2-6シアリル化糖鎖を欠損させた血管内皮細胞においては、PECAMと複合体を形成しているVEGFR2がPECAMと共にエンドサイトーシスされて細胞に過剰なシグナルを伝達することをみいだした。また、polyHEMAコートしたプレート上でα2-6シアリル化糖鎖を欠損させた血管内皮細胞を培養することで、インテグリン依存的なアノイキスが昂進していることが血管内皮細胞死につながっている可能性が高いことなどを明らかにした。これらの結果をまとめ、再投稿を行った結果、受理された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
血管内皮細胞系を用いてpolyligation assayを行うことで、PECAM-VEGFR2 complexの可視化に成功した。α2,6-シアリル化糖鎖を添加することで細胞内のPECAM-VEGFR2複合体の量が増大することを見出した。複合体のエンドサイトーシスが更新していると考えられる。また、この時に細胞に伝達されるシグナルを特定するため、リン酸化アレイ解析を行った結果、EGFR2のリン酸化が更新していることを見出した。α2,6-シアリル化糖鎖がPECAM-VEGFR2-インテグリンの協同的な機能調節を行っていること、その下流にEGFR依存的なシグナル伝達経路が連結していることなどが明らかになった。これらの結果を元に、α2,6-シアリル化糖鎖をミミックする化合物をスクリーニング中である。具体的にはPECAMに結合する化合物をライブラリーから見出し、その中からPECAM-PECAM相互作用を調節する化合物を二次スクリーニングしている。
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Strategy for Future Research Activity |
PECAMに結合する化合物の中には、in vitroでPECAMPECAM相互作用を弱めるタイプに加え、強めるタイプもあることが分かってきた。前者は抗血管新生阻害剤候補と考えられる一方で、後者は血管内皮の透過性をブロックする効果を持つ可能性が考えられる。そのため、両タイプの化合物について引き続き、さらなるスクリーニングを行っていく計画である。具体的には血管内皮細胞のアポトーシス感受性を高める効果の有無、血管内皮細胞の透過性をブロックする効果の有無について調べ、有望な化合物についても類縁体化合物ファミリーを探索し、より効果を高い化合物の探索も同時に行っていく計画である。
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Causes of Carryover |
本申請者の主たる所属が理研から福島医大に変更となり、移動の時期は候補化合物の2次スクリーニングに関する実験量が減った。そこで、次年度に、二次スクリーニングに関して、計画当初予定していた以上の実験内容(細胞培養、生化学的解析)が計画されているため、これらの実験に必要な使用額を変更したい。
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Research Products
(10 results)
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[Journal Article] 1.Imamaki R. Ogawa K, Kizuka Y, Komi Y, Kojima S, Kotani N, Honke K, Honda T, Taniguchi N, and Kitazume S2018
Author(s)
1.Imamaki R. Ogawa K, Kizuka Y, Komi Y, Kojima S, Kotani N, Honke K, Honda T, Taniguchi N, and Kitazume S
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Journal Title
Oncogene
Volume: -
Pages: -
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] CD22-binding synthetic sialosides regulate B lymphocyte proliferation through CD22 ligand-dependent and independent pathways, and enhances antibody production in mice2018
Author(s)
2.Matsubara N, Imamura A, Yonemiz Tu, Akatsu C, Yang H, Ueki A, Watanabe N, Abdu-Allah H, Numoto N, Takematsu H, Kitazume S, Tedder FT, Marth JD, Ito N, Ando H, Ishida H, Kiso M, and Tsubata T
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Journal Title
Frontiers in Immunology
Volume: -
Pages: -
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] High affinity sugar ligands of C-type lectin receptor langerin.2018
Author(s)
Ota F, Hirayama T, Kizuka Y, Yamaguchi Y, Fujinawa R, Nagata M; Ismanto HS, Lepenies, Aretz J, Rademacher C, Seeberger PH; Angata T, Kitazume S, Yoshida K, Betsuyaku T, Kida K Yamasaki S, and Taniguchi N
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Journal Title
BBA - General Subjects
Volume: -
Pages: -
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Core fucose is critical for CD14-dependent Toll-like receptor 4 signaling2017
Author(s)
4.Iijima J, Kobayashi S, Kitazume S*, Kizuka Y, Fujinawa R, Korekane H, Shibata T, Saitoh S, Akashi-Takamura S, Miyake K, Miyoshi E, and Taniguch N
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Journal Title
Glycobiology
Volume: 2017
Pages: 1006,1015
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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