2016 Fiscal Year Research-status Report
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16K08670
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
山下 篤 宮崎大学, 医学部, 助教 (90372797)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
盛口 清香 宮崎大学, 医学部, 助教 (90468041)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 動脈硬化症 / 動脈血栓症 / 内因系凝固因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
心筋梗塞や脳梗塞などの心血管イベントの多くは、動脈硬化巣(プラーク)の破綻に伴う血栓形成によって発症する。その予防として抗血小板薬が第一選択薬とされているが、出血性合併症のリスクのためより安全な予防薬の開発が期待されている。申請者らは動脈血栓形成に外因系凝固経路によるフィブリン形成が重要であることを報告してきたが、もう一つの活性化経路である内因系凝固因子の関与は明確ではない。 本研究では、病理標本と動物モデルを用いて、動脈血栓症の発症に関連する病理学的因子の解明や動脈硬化性血栓の形成機序の解明を目的とする。特に血栓症発症における内因系凝固因子の寄与に注目して研究を行う。本研究の発展により、動脈血栓症の病態生理の理解や内因系凝固経路の関与の解明と、さらには出血性合併症の少ない血栓症予防薬の開発に繋がることが期待される。 本年度は、動脈血栓症の発症に繋がる病理学的因子を明らかにするために、121解剖症例の全身血管の病理標本を用いて臨床病理学的検討を行った。72%の総腸骨動脈に進行性プラーク(AHA分類IV以上)を認め、石灰化(66%)、プラーク内出血(42%)、プラーク破綻(24%)を伴っていた。また総腸骨動脈の進行性プラークは心筋梗塞(オッズ比6.4)と関連しており、無症候性の進行性総腸骨動脈プラークの検出するこで急性心筋梗塞の高リスク群を抽出しうることが示唆された。次に冠動脈硬化症のモデル動物を確立するために、WHHL-MIウサギの冠動脈硬化を検討した。冠動脈には様々な段階の動脈硬化性変化を認め、不安定プラークであるthin-cap fibroatheromaも形成されていた。不安定プラークの浸潤マクロファージはマトリックスメタロプロテアーゼを発現しており、冠動脈研究に有用なモデルであることが示唆された。動脈血栓モデルに使用する中和抗体の予備検討を行い投与量を決定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
人体病理学的検討や動物モデルの予備検討などおおむね当初の計画通りに進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
急性心筋梗塞症例の冠動脈標本を用いて、FXIIを活性化しうる陰性荷電物質(DNA、コラーゲン、プロテオグリカン、ポリリン酸、等)の局在や血栓との位置関係を特殊染色や免疫組織化学にて検討する。また血栓性プラークにおける血栓形成機序を解析するために、動脈硬化性疾患にて外科手術により摘出された大動脈プラークを用いて、血栓性プラークと非血栓性プラークにおけるコラーゲンやプロテオグリカンの遺伝子、蛋白発現やDNA濃度を測定し比較する。動物モデルを用いて、動脈硬化性血栓形成における、外因系凝固因子と内因系凝固因子の関与を機能阻害抗体を用いて検討する。
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Research Products
(4 results)