2016 Fiscal Year Research-status Report
去勢抵抗性前立腺癌に対するARBの治療効果およびその分子メカニズム解析
Project/Area Number |
16K08717
|
Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
高橋 智 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 教授 (60254281)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 前立腺癌 / 動物モデル / 転移・浸潤抑制 / アンギオテンシン1型受容体阻害剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
当教室で樹立した前立腺癌好発トランスジェニックラット(Transgenic Rat for Adenocarcinoma of Prostate, TRAP)を用いた浸潤癌モデルに対して、アンギオテンシン1型受容体阻害剤(ARB)であるカンデサルタンを1あるいは2mg/kg/day、およびアンギオテンシン2型受容体作動薬であるC21を2mg/kg/dayの濃度で15週間飲水投与し、浸潤性前立腺癌に対する発生抑制、治療効果について検討した。現在、動物実験は終了し、病理組織標本を評価しているところである。 PCai1による転移実験をイメージング装置で計測するために、PCai1-luciferase 細胞の樹立を行った。常法に従いluciferase遺伝子を導入したPCai1細胞を2株(#5-1, #15-1)得た。3x106個のPCai1-luc-#15-1を去勢したヌードマウス17匹に経尾静脈移植し、接種後1週、8週でluciferinを用いた転移巣検出を試みたが、いずれの個体にもin vivoイメージングでは転移巣は観察されず、解剖を行って全身検索をしたが転移病巣は確認できなかった。このことから、PCai1-luc-#15-1は親株のPCai1とは異なり転移能を喪失している事が判明した。そのため、もう1つのluciferase安定発現株であるPCai1-luc-#5-1を用いて検討した。2匹のヌードマウスに1x106個の細胞を用いて皮下移植、10匹のヌードマウスに3x106個の細胞を用いて経尾静脈移植を行った結果、皮下移植した2個体ではいずれも腫瘍は生着し、移植後14週の時点で腋窩リンパ節への転移を観察した。一方、経尾静脈移植を行った個体では、5匹にリンパ節転移、4匹に肺転移が検出された。今後は転移能が確認できたPCai1-luc-#5-1を用いて転移抑制実験を進めていく。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
浸潤癌モデル実験については、前立腺癌好発トランスジェニックラット(TRAP)の作出に時間を要してしまったため、遅れがでている。また、luciferase発現安定前立腺癌細胞株を樹立したものの、親株に比較して転移能が減弱あるいは消失しており、転移能を有する細胞株の選択、確認に手間取ってしまった。
|
Strategy for Future Research Activity |
TRAPラット浸潤癌モデルについては、早々に病理学的検討結果が出せると考えている。また、PCai1-luc-#5-1を用いた実験では、手技が安定している皮下移植実験から行い、去勢抵抗性前立腺癌(CRPC)増殖あるいは転移に対する抑制効果を評価していく。本来の目的である骨転移に対する評価は経尾静脈移植で行う必要があるが、手技的に安定していないためもう少し熟練してから実験を開始する予定である。また、in vitroにおけるARBの増殖抑制効果についてマイクロアレイ解析を行い、抑制に関わる遺伝子群を探索する。
|
Causes of Carryover |
前立腺癌細胞株移植実験が予定より遅れていたことから、in vivoイメージングの際に使用する試薬が当初予定していた量より少なく済んだため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に行うin vivoイメージングの際に使用する試薬購入に充てる。
|
Research Products
(4 results)
-
[Journal Article] Pioglitazone, a Peroxisome Proliferator-Activated Receptor γ Agonist, Suppresses Rat Prostate Carcinogenesis2016
Author(s)
Suzuki S, Mori Y, Nagano A, Naiki-Ito A, Kato H, Nagayasu Y, Kobayashi M, Kuno T, Takahashi S.
-
Journal Title
International Journal of Molecular Sciences
Volume: 12
Pages: 2071
DOI
Peer Reviewed / Open Access
-
-
-