2017 Fiscal Year Research-status Report
医学科初年次より開始するシミュレーション医学教育の有用性の検証
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16K08855
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
加賀谷 豊 東北大学, 医学系研究科, 教授 (90250779)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | シミュレーション教育 / 心臓聴診 / 初年次教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は医学科4年生を対象に心臓病診察シミュレータを用いた3時間1回の少人数実習を行ってきた。3年間で324人を対象として行った実習中に、異なるタイプの2回の小テストを実施した結果、II音(分裂なし、呼吸性分裂、幅広い異常分裂)、III音/IV音(III音、IV音、III音+IV音)、心雑音(大動脈弁狭窄症、大動脈弁閉鎖不全症、僧帽弁狭窄症、僧帽弁閉鎖不全症)の3つのカテゴリーの何れに属する音かを予め知らせて聴かせると正解率が高いが、知らせないとII音/III音/IV音で正解率が著しく低下することを報告した(Kagaya Y, et al. J Cardiol 2017;70:192-198)。さらに、医学科1年次から心臓聴診トレーニングを開始することの有用性を検討することを目的として、参加を希望した医学科1年生27名を対象として、4年次と同じ内容の実習を90分間x3回で課外の時間に行った。4年生と同じく2つの異なるタイプの小テストを実習最終日に行った。終了後に無記名アンケート調査も行った。その結果、3つのカテゴリーの何れに属する音かを予め知らせてから聴かせると、II音/III音/IV音と心雑音の正解率は、それぞれ87.0%と86.1%であり4年生の正解率よりも高い傾向にあった。カテゴリーを知らせないで出題すると正解率は、それぞれ72.2%と70.4%であり、II音/III音/IV音に関しては有意に低下、心雑音に関しては低下する傾向にあった。II音/III音/IV音に関しては4年生の正解率よりも高い傾向にあった。5段階の評定尺度の「強くそう思う」と「そう思う」を合わせると、27名中27名(92.6%)が「この実習が1年生で行うのに相応しい」と答えた。心臓聴診トレーニングを自発的に希望した意欲のある1年生においては、4年生に劣らない成果をあげられることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
医学科1年次から心臓聴診トレーニングを開始することの有用性を検討するため、前年度に引き続き、4年次と同じ内容の実習を90分間x3回で課外の時間に行い、4年生と同じ2つの異なるタイプの小テストと無記名のアンケートを実習の最後に行った。希望者だけを対象とした課外のトレーニングであるが、今まで合計27名のトレーニングを実施し、全員の小テストの結果とアンケート結果を解析できた。その結果、課外の時間における心臓聴診トレーニングを希望した意欲のある1年生においては、初年次の本トレーニング成果が4年生に劣らないものであることが示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
初年次の課外の時間における心臓聴診トレーニングを継続し、引き続き本トレーニングの有用性の検討を続ける。また、4年生のトレーニングに関しては、平成29年度から事前に課題を与えてから心臓聴診トレーニングを実施しており、これを平成30年度も継続して、成果が向上するかを検討する。
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Causes of Carryover |
予想される心臓診察シミュレータの修理費を計上していたが、予想よりも安価に済んだこと、海外学会での発表を予定していたが、データの収集と解析が予想よりも遅くなり、参加を見送ったことなどが理由としてあげられる。次年度は充分なデータの収集が得られ、解析も進むと予想され、また、各種の学会での報告や論文発表に予算を使用できると考えている。
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Research Products
(16 results)