2018 Fiscal Year Research-status Report
地域包括ケアシステムの構築を担う地域医療人材の効果的な教育手法の考案
Project/Area Number |
16K08870
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
岡山 雅信 神戸大学, 医学研究科, 特命教授 (10285801)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 剛史 自治医科大学, 医学部, 講師 (20554554) [Withdrawn]
竹島 太郎 福島県立医科大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (50554565)
森田 喜紀 自治医科大学, 医学部, 研究員 (60627644) [Withdrawn]
八幡 晋輔 神戸大学, 医学研究科, 特命助教 (00795768)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 地域医療 / 意識形成 / 医学教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
地域医療マインドに係るインタビュー調査について、地域枠医学生14名(年齢23.±0.83歳、男性5名女性9名)に対して半構造化面接を行い、ステップコーディングによる質的データ分析(SCAT)を用いて解析を行った。概念的枠組みとしてマズローの欲求5段階説を採用した。地域住民や地域医療従事医療者による地域枠医学生の地域医療への意欲及びやり甲斐の醸成に対する影響として、「地域住民との対話の中に、自身の生育環境や日常生活との複数の共通点を見いだすことで安心感を得ている」「先輩の医師としての成長は、病院に対する評価につながる。先輩の発言は良否ともに病院に対する評価につながる」「研修医が活躍する姿をみることで、近未来的自己像を想像することができる」「課題に対して具体的な対応法を実践するロールモデルと出会うことで、安心感が生じる。患者・地域住民からの感謝や喜び、需要、学生に対する期待の声、住民の積極的な態度、厳しい意見は、やりがいの醸成に寄与する」「医療活動に対する住民の理解、地域全体での統一された地域医療ビジョンは、地域医療に対する意欲を向上させる」「献身的態度、熱意、貢献度、親密な対人関係構築能力、全人的診療スタイルといったロールモデルとの出会いは意欲の醸成に寄与する」「ロールモデルとの能力格差や、上級者が抱える課題への直面は、将来の自己実現に対する不安をもたらす」「地域住民との快体験の共有や、共同作業を通した価値観の共有は高揚感を伴う。発言の影響力は、医師の経験年数によって異なるが、その一つの理由として学生の心理状態が挙げられる」「田舎で勤務するロールモデルとの出会いで得た陽性感情は、田舎での医療像に波及し、田舎親和性の維持・向上に寄与する」「地域医療に従事する医療者の楽しそうな姿や、やりがいの体験共有は、地域医療に対するイメージに影響する」ことが推測された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
臨床実習前の地域医療マインドの変化とその関連項目の解明について、地域医療志向に関する経年変化を追跡するためのデータベースが構築された。現時点で、2014年度、2015年度、2016年度、2017年度、2018年度入学者のデータを入手し、追跡できる環境を整備した。そして、2014年度および2015年度入学者に関しては、データセットが完成した。地域医療マインドの長期的な影響の解明についても、新たな同定された知見を質問項目に追加して、登録者名簿の作成および追跡内容の確定し、調査を実施出来る段階となっている。また、地域医療マインド形成に係るインタビュー調査 (構造化面接)についても、予備的調査を実施後に、本調査として14名にインタビュー調査を実施して、分析を進め、ほぼ結論を得ている。
|
Strategy for Future Research Activity |
臨床実習前の地域医療マインドの変化とその関連項目の解明については、同様に追跡調査を行う。地域医療マインドの長期的な影響の解明については、本年7月に調査を実施するために、倫理委員会で調査方法の承認を得て、質問紙による追跡調査を実施する。地域医療マインド形成に係るインタビュー調査(構造化面接)については、得られた結果の精度を上げるため、解析数を増やして、分析を実施する。
|
Causes of Carryover |
地域医療へのやり甲斐やその実践への意欲の醸成の形成過程で、新たな所見(自由な雰囲気におけるセミナーの活動など現場との関係性に係る項目などが同定され、調査対象者の数を増やす必要が発生した。これに伴い、長期コホート調査について、質的研究で明らかとなった項目を追加するとともに、その影響を明らかにするために、対象を拡大して調査を行う必要が発生した。これらのことから、次年度に研究費を持ち越した。
|
Research Products
(7 results)