2017 Fiscal Year Research-status Report
血清高感度肺がんバイオマーカーの同定と新規治療標的分子の臨床応用
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16K08928
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高野 淳 東京大学, 医科学研究所, 特任講師 (50582607)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
醍醐 弥太郎 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (30345029)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | バイオマーカー / 新規治療標的分子 |
Outline of Annual Research Achievements |
cDNAマイクロアレイを用いた探索:データより肺がんで発現が高く、正常での発現がほとんどないタンパクURST1タンパクについて、引き続き検討を進めた。URST1は、肺がん、口腔がん、悪性胸膜中皮腫、乳がんのいずれにおいても、正常細胞、組織と比較して、がんで高頻度に発現上昇を認め、siRNAにてURST1を抑制するとがん細胞の増殖を抑制した。がん患者の組織検体を用いて、免疫組織染色を行い、肺がん、口腔がん、乳がんのいずれにおいても重要な予後マーカーであることを確認した。また、URST1に対する阻害剤を添加することで、がん細胞の増殖が有意に抑制され、治療薬として、臨床応用に向け有望である。更に機能解析でURST1は、Chromosome passenger proteinとの相互作用することで、M期の細胞の分裂に深く関与していることが判明した。引き続き、機能解析、臨床応用に向けて研究を進めている。 その他、KIF11についても同様に、口腔がんで高発現し、がんの増殖への関与すること、阻害剤の添加によりがん細胞の増殖抑制効果を確認できたため、臨床応用に向けて進めている。 一方、LASEP3については、肺がんで高発現し、がんの増殖に関与する分泌タンパクであり、肺がん患者の組織検体を用いて、免疫組織染色を行い、重要な予後マーカーであることを確認した。LASEP3は、血清マーカーとしても有用で非小細胞肺がんで61.8%、小細胞肺がんで62.6%の感度で、特異度は94.5%であった。 高感度マーカー:肺がん組織、正常肺からmRNAを回収し、血清Exosome中のmRNAや血中DNAの肺がん特異的遺伝子配列をDigital PCRなどで検出を進めている。肺がん患者10-20症例について、がん組織とエクソソーム中のURST1 mRNA濃度を同時に測定し、それぞれ相関していることを確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
cDNAマイクロアレイを用いた探索:データより肺がんで発現が高く、正常での発現がほとんどないタンパクURST1タンパクについて、肺がん、口腔がん、悪性胸膜中皮腫、乳がんにおいて、正常細胞、組織と比較して、がんで高頻度に発現上昇を認め、siRNAにてURST1を抑制するとがん細胞の増殖を抑制した。免疫組織染色では、重要な予後マーカーであることが確認された。また、URST1に対する阻害剤により、がん細胞の増殖が優位に抑制され、治療薬として、臨床応用に向けて期待され、KIF11についても同様に、臨床応用に向けて進めており、一定の成果を得つつある。 一方、LASEP3については、がんの増殖に関与する分泌タンパクであり、免疫組織染色を行い、重要な予後マーカーであり、血清診断マーカーとしても有用で、肺がんの60-70%を検出できた。機能解析に関してもAutocrine/paracrine的にがんの増殖に関与することが確認できており、更なる解析を進めていきたい。 高感度マーカー:肺がん患者10-20症例について、がん組織とエクソソーム中のURST1 mRNA濃度を同時に測定し、相関していることが確認できた。血清、血漿Exosome中のmRNAの抽出、Digital PCRで検出系が確立され、一部の候補について、その有用性が確認できたため一定の成果は得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
cDNA microarrayから腫瘍マーカー、治療標的分子の探索:多数の腫瘍マーカー、治療標的分子候補の検討を行っているが、H29年度までに十分に解析できなかったものについては、引き続き解析していく。LASEP3については、がんの増殖に関与する分泌タンパクであり、免疫組織染色を行い、重要な予後マーカーでもあった。また、血清マーカーとしても有用であった。機能解析に関しても進めていくとともに、腫瘍マーカーとして、早期の実用化に向け、市販化を目指しELISAのキット化の検討を行いたい。治療標的分子についても、URST1、KIF11など、阻害剤でがん細胞の増殖抑制効果を確認できており、実用化に向けた検討が必要であるが、阻害剤が水に溶けにくい等の問題もあり、新たな阻害剤が入手できた場合は、そちらも使用して検討していく。 高感度マーカー:肺がん患者10-20症例について、血清、血漿Exosome中のmRNAの抽出、Digital PCRで検出系が確立され、一部の候補について、その有用性が確認できたが、多数の肺がん血清、血漿を用いて、引き続き検討を進める。新しい測定キット、測定機器が販売された場合には、検討しより良い測定系の確立を試みる。
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Research Products
(9 results)
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[Journal Article] High co-expression of IL-34 and M-CSF correlates with tumor progression and poor survival in lung cancers.2018
Author(s)
Baghdadi M, Endo H, Takano A, Ishikawa K, Kameda Y, Wada H, Miyagi Y, Yokose T, Ito H, Nakayama H, Daigo Y, Suzuki N, Seino KI.
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Journal Title
Sci Rep.
Volume: 11;8(1)
Pages: 418-427
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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