2017 Fiscal Year Research-status Report
マクロファージ表面マーカーを指標とした間質性肺炎の新規診断法の開発と病態機序解明
Project/Area Number |
16K08940
|
Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
山下 雅大 岩手医科大学, 医学部, 助教 (10606685)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | マクロファージ / 間質性肺炎 / CD206 |
Outline of Annual Research Achievements |
①特発性間質性肺炎患者から得られた肺組織標本とM2マーカーの一つであるCD163および汎マクロファージマーカーであるCD68に対する一次抗体を用い免疫組織化学的方法と形態計測的手法を用いて、肺組織におけるCD163陽性細胞密度の計測を行った。 ②特発性間質性肺炎のさらに簡便な鑑別診断法を開発するという課題に対して、ヒト特発性間質性肺炎の中でIPF/UIPとNSIP患者、および健常人コントロールの末梢血中から得られた単球表面マーカーをM1型とM2型マクロファージ関連分子に注目しFACSで解析を行った。CD14strong単球分画をMAC387(M1型)およびCD163(M2型)の発現profileを各病型間で比較検討したところ、MAC387/CD163比およびMAC387陽性率がIPF/UIPとNSIPで有意差を示した。現在症例数を増やしているところである。 ③ヒト特発性間質性肺炎の免疫組織学的解析結果を踏まえそのリバーストランスレーショナルリサーチとしてCD206ノックアウトマウスを用い、可逆性および非可逆性線維化モデルとなるパラコート誘発マウスモデルにおいてCD206陽性マクロファージが線維化の助長あるいは線維化の阻害に作用するのかを明らかにするという研究課題を追求した。C57BL/6Jを背景としたCD206ノックアウトマウスではC57BL/6J野生型と比較して線維化病変の程度が強くCD206が病変形成に保護的に作用していると考えられた。またCD206の発現は、経過中出現するマクロファージあるいは樹状細胞の中でCD11c+CD11b-~±AMsに限定されていた。 ④肺腺癌細胞株の小胞体ストレスに対する応答は細胞株によって異なり、特に分子シャペロンProtein-L-isoaspartate (D-aspartate) O-methyltransferase (PIMT)の代償発現の不足は、肺腺癌細胞株A549細胞およびH441細胞の上皮間葉移行を誘導することが明らかとなった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
②ヒト特発性間質性肺炎の症例がまだ予定症例数に達していないが、残りの1年で到達予定が見込まれている。 ③CD206ノックアウトマウスを用いた動物実験では対照マウスとの比較した生存曲線解析および定時線維化病変の検討では有意な繊維化病変抑制を見せている。特にCD206ノックアウトマウスにおけるCD11c+CD11b-AMsでは対照と比較してHmox-1の発現が顕著に低下していた。
(丸抜き数字は研究実績概要の数字に対応する)
|
Strategy for Future Research Activity |
②当初の予定どおりIPF/UIPおよびNSIP症例各々30例程度を目標例数として症例を蓄積していく。 ③ヒト特発性間質性肺炎においてCD206の発現性に違いが出たその病因論的意義をmicroarrayなどを用い検討する予定である。
(丸抜き数字は研究実績概要の数字に対応する)
|
Causes of Carryover |
予算はmicroarrayに充てがわれる予定であった。しかしmicroarrayの品質確認でRIN値およびratioが基準値をクリアーできず実施延期となっていた。本年度に改めて実施予定としている。
|
Research Products
(6 results)