2017 Fiscal Year Research-status Report
潜在性結核感染症と発病期におけるmiRNA探索と免疫制御における役割
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16K09037
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
趙 虹 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 特任講師 (10596183)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中嶋 弘一 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 教授 (00227787)
村上 善基 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 准教授 (00397556)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 潜在性結核感染症 / エクソソーム / miRNA / バイオマーカー |
Outline of Annual Research Achievements |
結核感染を受けても発症に至らない潜在性結核感染症(LTBI)患者の1-2割は2年以内に発病するとされている。多数のLTBI患者群をコーホート研究することで、実際に発症に至る群に特徴的な何らかのバイオマーカーを見出すことは大きな意味がある。この研究では、患者血清中のエクソソームに含まれるmiRNAからそのようなバイオマーカーを探索している。 昨年度報告のように、コーホートに入るLTBI患者を未治療のまま発症まで統計的解析が可能なほど多数追跡することは困難であることから、大阪はびきの医療センターにて入院治療を受けることになった結核患者群、外来にてLTBIと判明し、LTBIの治療を今後行う群、QFT結果判定の保留の群でコーホートを開始することにした。これらのうち、2017年度は、LTBIで治療前の症例10例、結核発症患者10例の血清エクソソーム中のmiRNAを次世代シークエンサーで解析を行った。LTBI患者群で発現が低く、結核発症患者群で発現の高いmiRNAが二つ見出された。それぞれある値で高発現、低発現を分けると、それぞれ85%の確かさで2群を分けることができた。この結果は、患者グループの年齢差などの影響を受けている可能性もあり、年齢などを揃えた症例を加え、検討を重ねる必要があろう。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
病院外来においてLTBI患者さんに治療をせずに数年間経過を観察するという選択は実際にはほとんどできないことから、LTBI患者の中で、結核を発症してくる群を一定数以上得ることはできない。そこで今回、大阪はびきの医療センターにて新規結核発病患者として入院治療を行う群を含めて、結核感染症者に特徴的なmiRNAパターンを探索することにした。まずは潜在性結核感染症患者群との比較で有意に発現量の変動するmiRNAを求めた。検索にあたっては、次世代シークエンス(NGS)法を用いることで有意に違いのあるものを見出す方法を用いた。今回QFT陰性の健常人のデータを得ていないため、LTBIに変動するmiRNA解析はできておらず、LTBIと結核発症者群との比較になった。今回の解析経験から、NGS法が十分有効であることが確認できたことから、含める症例の年齢分布などを揃えて、症例を増やすことで、LTBI症例に特徴的なmiRNA、結核発症症例に特徴的なmiRNAを見出すことが可能となると期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
先に述べたように、次世代シークエンサーでLTBI患者群、結核発症者群でmiRNA解析結果を基本として、それぞれの群での症例数を増やす。まずは10件程度のNGS追加解析を行うこと、次に候補miRNAについて、より多数の検体でqRT-PCR法にて検証実験を行う。さらにそれぞれの患者の前向きコーホートとして結核発症に伴うmiRNAパターンの変化を追いかける。これらのことを行いながら、それらmiRNAがいずれの細胞系から由来するのか、どのような機能と対応するのかなどの研究へと進めることがよいと考えている。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由としては、研究成果が学会発表の水準にまでは達しなかった部分があり、学会などへの出張を行わなかったため、旅費が発生しなかったことがあげられる。これらの金額と次年度以降に請求する研究費を合わせた使用計画としては、研究図書の購入を増やすこと、学会への 参加のための旅費に使用すること、海外文献の翻訳のための謝金として使用すること、などを計画している
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