2018 Fiscal Year Research-status Report
脳卒中片麻痺者の長期的な疾患管理のための身体活動量の把握
Project/Area Number |
16K09069
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
清水 忍 北里大学, 医療衛生学部, 講師 (90286386)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松永 篤彦 北里大学, 医療衛生学部, 教授 (00286387)
守田 憲崇 北里大学, 医療衛生学部, 講師 (70632420)
有阪 直哉 北里大学, 医療衛生学部, 助教 (40759403)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 脳卒中 / 身体活動量 / 歩数 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は脳卒中片麻痺者(片麻痺者)を対象に、身体活動量と身体機能、移動能力、日常生活活動との関係について明らかにするとともに、これらを縦断的に調査し、脳卒中の再発率、生存率と身体活動量の関係について調査することを目的としている。 片麻痺者のように歩行速度が遅い場合は市販の身体活動量計では歩数の精度が低下することから、適用可能な歩行速度の範囲を明らかにした後に、片麻痺者の歩数を計測し、身体機能、認知機能などとの関係について調査した。まず、市販の身体活動量計を非麻痺側の下腿遠位部に装着した場合、快適歩行速度が20m/min以上であれば、歩数の測定精度が高いことが明らかになった。この方法を用いて、回復期病院に入院中で病棟内歩行が自立している片麻痺者の歩数を測定し、1日の平均総歩数、リハビリテーション実施時の歩数(リハ時歩数)、リハビリテーション実施時以外の歩数(非リハ時歩数)の実態を把握することができた。その結果、リハ時歩数と非リハ時歩数との間に相関は認められなかった。さらに、これら歩数と運動機能、認知機能との関係をみたところ、1日の総歩数および非リハ時歩数は、下肢の運動麻痺の重症度、健側下肢筋力、歩行速度などの身体機能よりも認知機能の影響を受けることが明らかになった。リハ時歩数は療法士の影響を受けるのに対し、非リハ時歩数は片麻痺者の病棟での自主的な活動を捉えている。このため、退院後の身体活動量を予測するためには、特に、非リハ時歩数に影響する因子を調べることが重要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
我々の初期の計画では、脳卒中片麻痺者の身体活動量(歩数)を測定するにあたり、三軸加速度計内蔵のiPod touchを用いて、歩行速度の遅い片麻痺者の歩数も正確に測定可能なアプリケーションの開発および改良を行なった後に、複数の施設で片麻痺者の身体活動量の測定を実施する予定であった。実際、このアプリケーションを用いることによって、20m/min以下の歩行速度が遅い片麻痺者であっても、20m/min以上と歩行速度が速い片麻痺者や健常者と同様の精度で歩数を測定することが可能になった。しかし、機器の重さや装着性の問題については解決が難しく、1時間以内といった短時間の測定は問題ないものの、終日装着して歩数を計測することは困難であった。このため、測定機器として、より軽量で終日装着しておくことが可能な市販の身体活動量計の使用を検討することとなった。しかし、市販の身体活動量計は歩行速度が遅い対象者では精度が低下することから、測定を実施する前に、片麻痺者を対象とした場合の使用可能な歩行速度の適応範囲を調べる必要があった。このように、身体活動量の測定に使用する機器を変更したため、当初の計画よりも研究の進捗が遅れることとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
片麻痺者の身体活動量を計測するにあたり、歩行速度歩行速度が20m/min以上であれば、正確に歩数を測定することが可能であることが明らかになった。また、今回用いた身体活動量計であれば、1日の総歩数のみでなく、リハ時、非リハ時の歩数を分けて捉えることが可能であった。今後は、研究対象者を増やすため、複数の回復期病院で入院中の片麻痺者の調査を行うとともに、地域在住の片麻痺者についても、歩数を計測し、身体機能、日常生活活動能力、活動範囲などとの関連性について 検討していく予定である。さらに、縦断的な評価を行い、身体活動量(歩数)の変化と身体機能等の変化との関連性について明らかにしていく。
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Causes of Carryover |
当初の予定では、昨年度までに我々が片麻痺者の歩数計測に用いてきた計測機器(iPod touch)による歩数計測用アプリケーションを改良し、複数施設での片麻痺者の日常の身体活動量(歩数)を測定するための多数台のiPod touchの購入を予定していた。しかし、機器の重さの問題などを解決することが難しく長期間の装着が困難であったため、測定に使用する身体活動量計を変更することとなり計測機器の購入時期が当初の予定時期よりも遅れている。このため、次年度使用額が生じることとなった。次年度から多施設での片麻痺者の身体活動量(歩数)の計測を開始するため、新たに多数台の身体活動量計の購入を予定している。
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