2016 Fiscal Year Research-status Report
新生児心ループス予防プロジェクト:SLE薬ヒドロキシクロロキンの臨床応用の可能性
Project/Area Number |
16K09089
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Tama Medical Center (Department of Clinical Research) |
Principal Investigator |
横川 直人 東京都立多摩総合医療センター(臨床研究・教育研修センター(臨床研究部)), リウマチ膠原病科, 医長 (40601828)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 美賀子 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 妊娠と薬情報センター, その他 (40774427)
村島 温子 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 周産期・母性診療センター, 主任副周産期・母性診療センター長 (00501678)
三浦 大 東京都立小児総合医療センター(臨床研究部), なし, その他 (70199959)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 新生児ループス / ヒドロキシクロロキン / 抗SS-A抗体 / 先天性房室ブロック |
Outline of Annual Research Achievements |
研究概要を第52回日本小児循環器学会総会 2016/7/6 で発表した。 また事務局への相談は1件あり、新生児ループスの皮膚病変の既往のある妊婦の予防についてコンサルトがあった。新生児ループスの心病変は約10倍(15-20%)のリスクであるが皮膚病変でも約5倍(10%)のリスクがあること、ヒドロキシクロロキン(HCQ)の妊娠中の使用に関する安全性について情報提供を主治医と患者と直接電話で行った。その結果HCQの投与が行われ、無事合併症なく出産をした。 研究開始前の実態調査のため、2016年末に日本小児循環器学会所属の184施設を対象に2006年1月から2016年12月に発症した完全房室ブロックの症例数調査を行った。 一方、現在米国で、前児で新生児ループス(心病変)を有する妊婦を対象にヒドロキシクロロキン(HCQ)を投与し次の児での発症予防効果を調べる臨床試験(Preventive Approach to Congenital Heart Block With Hydroxychloroquine: PATCH, ClinicalTrials.gov :NCT01379573 )が順調に進行中であることが判明した(personal communication)。我々の研究がHCQの有用性の検証が主目的であることを踏まえ、研究者間で協議した結果、ゲノム解析費用を介入研究に回し、我々の研究デザインも観察研究だけでなく介入研究(J-PATCH)も実施する方向で研究計画を大幅に変更した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究概要を第52回日本小児循環器学会総会 2016/7/6 で発表した。 事務局への相談は1件あり、新生児ループスの皮膚病変の既往のある妊婦の予防についてコンサルトがあった。新生児ループスの心病変は約10倍(15-20%)のリスクであるが皮膚病変でも約5倍(10%)のリスクがあること、ヒドロキシクロロキン(HCQ)の妊娠中の使用に関する安全性について情報提供を主治医と患者と直接電話で行った。その結果HCQの投与が行われ、無事合併症なく出産をした。 研究開始前の実態調査のため、2016年末に日本小児循環器学会所属の184施設を対象に2006年1月から2016年12月に発症した完全房室ブロックの症例数調査を行った。その結果、抗SS-A抗体関連が112例報告があり、生存100例、生後死亡8例、子宮内死亡4例、ペースメーカー留置率は78.5%であった。4例で前児に新生児ループス(心病変)を認めた。(第53回日本小児循環器学会総会 2017/7/9に発表予定) 現在米国で、前児で新生児ループス(心病変)を有する妊婦を対象にヒドロキシクロロキン(HCQ)を投与し次の児での発症予防効果を調べる臨床試験(Preventive Approach to Congenital Heart Block With Hydroxychloroquine: PATCH,ClinicalTrials.gov :NCT01379573 )が順調に進行中であることが判明した(personal communication)。我々の研究がHCQの有用性の検証が主目的であることを踏まえ、研究者間で協議した結果、ゲノム解析費用を介入研究に回し、我々の研究デザインも観察研究だけでなく介入研究(J-PATCH)も実施する方向で研究計画を大幅に変更した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は下記の3プロジェクトを開始する。 1)新生児ループスに関する症例レジストリ(NL children):新生児ループスの心病変を有する児に関する症例レジストリを作成する。 2)以前の妊娠で新生児ループスを合併した母親のその後の妊娠に関するレジストリ( NL mother):以前の妊娠で新生児ループスの心病変を合併した抗SS-A抗体陽性の母親のその後の妊娠に関するレジストリを作成する。 3)新生児ループス心病変)を前児で合併した女性の妊娠にHCQを投与する多施設共同オープンラベル試験(J-PATCH):以前の妊娠で新生児ループスの心病変を合併した抗SS-A抗体陽性の母親のその後の妊娠で新生児ループスの再発予防にHCQを投与する臨床試験(PATCH)が米国で進行中であるが、ほぼ同じプロトコールの臨床試験を国内多施設共同で行う(J-PATCH)。
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Causes of Carryover |
現在米国で、前児で新生児ループス(心病変)を有する妊婦を対象にヒドロキシクロロキン(HCQ)を投与し次の児での発症予防効果を調べる臨床試験が順調に進行中であることが判明したため、我々の研究がHCQの有用性の検証が主目的であることを踏まえ、研究者間で協議した結果、介入研究(J-PATCH)も実施する方向で研究計画を大幅に変更することにした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
ゲノム解析費用を介入研究に要する費用に回し、試験薬購入や臨床研究保険などに支出する予定である。
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