2017 Fiscal Year Research-status Report
新生児心ループス予防プロジェクト:SLE薬ヒドロキシクロロキンの臨床応用の可能性
Project/Area Number |
16K09089
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Tama Medical Center (Department of Clinical Research) |
Principal Investigator |
横川 直人 東京都立多摩総合医療センター(臨床研究・教育研修センター(臨床研究部)), リウマチ膠原病科, 医長 (40601828)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 美賀子 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 妊娠と薬情報センター, その他 (40774427)
村島 温子 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 周産期・母性診療センター, 主任副周産期・母性診療センター長 (00501678)
三浦 大 東京都立小児総合医療センター(臨床研究部), なし, その他 (70199959)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ヒドロキシクロロキン / 新生児ループス / 抗SS-A抗体 / 予防 / 遠隔診療 / 臨床試験 |
Outline of Annual Research Achievements |
抗SS-A抗体は健康な人でも約1%に認める抗体で、約1-2%の妊娠で児の房室ブロックを発症する。そのため妊娠中に胎児徐脈が判明し初めて抗SS-A抗体陽性が判明することも多い。前児で房室ブロックを経験した抗SS-A抗体陽性の母親は次の妊娠で房室ブロックを再発する危険が10倍(15-18%)となる。そのため次の妊娠について悩んでいる母親は少なくない。 その予防に、海外では全身性エリテイマトーデスの治療薬であるヒドロキシクロロキン(HCQ)の有効性が示唆されており、米国で2011年より実施されていた臨床試験(PATCH)の結果が期待されている。日本では妊娠中の薬剤の適応外使用は難しいのが実情であり、未承認薬適応外薬等検討会議を通じて適応拡大を検討すべきである。我々は米国の研究グループの協力を得て、医師主導臨床試験(J-PATCH)を2017年の秋より開始した(UMIN 000028979)。 前児で心病変を合併した抗SS-A抗体陽性母親のその後妊娠で妊娠10週までにHCQ400mg/日の投与を行う。主要評価は房室ブロック(II or III度)の合併率である。4年間で全国から20例の組み入れを目標に、研究責任者自身が患者を併診しかかりつけのリウマチ膠原病医、小児循環器医、産科医と連携しながら試験薬を投与する。本治療を希望する全国の妊婦で妊娠10週までに組み入れを可能とするために、初診は受診以外に往診も可能とし、再診はオンライン診療システムを用いた遠隔診療で行う。 2017年9月からの組み入れは2例であった。さらに臨床試験とは別に、将来の妊娠・出産で悩む母親のプレコンセプションケア相談窓口(当科ホームページ参照)を設けた。2017年9月からの相談件数は7件であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
レジストリ研究でヒドロキシクロロキンの抗SS-A抗体関連の房室ブロックの再発抑制に関する有効性を示すのが本課題の主な目的であった。しかし、海外で実施している研究者の理解や遠隔診療システムを開発した企業の協力もあり、遠隔診療を用いた単群介入試験を医師主導試験を開始することができた。少なくとも本邦では遠隔診療を用いた臨床試験は初めてであり画期的ともいえる。また臨床試験もすでに2例が進行中である。これらの成果としても論文1本と学会発表4回を行うことができたことも評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
H30 RCT2年目 組み入れ目標4人 臨床研究審議会で審査 プロトコール論文を作成 H31 RCT3年目 組み入れ目標4人 未承認薬適応外薬検討会議に提出 製造企業に本臨床試験への試験薬提供の協力を再要請 H32 RCT 4年目 組み入れ目標4人 製薬企業と協議、臨床試験継続のための資金獲得
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Causes of Carryover |
試験薬の製造企業からの提供を見込んでいたが海外の本社が提供不可と最終局面で判断が変更したため、試験薬を購入しなければならなくなった。そのため科研費以外からの研究資金も活用している状況である。さらに臨床研究法案が開始され、臨床研究審議会で審査費用が高額必要となることが予測される。(なお次年度に未承認薬・適応外薬検討会議に申請を行い、受理された場合、再度、製造企業の協力を再要請する方針である。)
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Research Products
(6 results)