2018 Fiscal Year Research-status Report
オートタキシンとリゾリン脂質を基軸とする類洞微小環境を介した肝再生制御機構の解析
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16K09375
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
北村 庸雄 順天堂大学, 医学部, 先任准教授 (20231285)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩渕 和久 順天堂大学, 医療看護学部, 教授 (10184897)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 肝再生 / 肝類洞再構築 / 肝類洞内皮細胞 / オートタキシン / リゾホスファチジン酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
リゾホスファチジン酸 (LPA: lysophosphatidic acid) は血管新生・創傷治癒など多彩な機能を有するリゾリン脂質で、オートタキシン (ATX; autotaxin) により産生される脂質メディエーターである。生体内の LPA は主に ATX により制御されているがその機序には不明な点が多く、肝再生治療の新しい標的分子となる可能性が有る。 一方、ATX は肝線維化のバイオマーカーとしての役割も注目されており、血清 ATX の測定が昨年から慢性肝疾患に対して保険適用になっている。肝再生と肝線維化との間には密接な関係があることからも、ATX と肝再生の関連を明らかにすることには大きな意義があると考えられる。 本研究では、ラット胆管結紮による肝障害モデルを用い、肝再生と ATX-LPA axis につき検討した。これまでに行なった血中 ATX 活性、血漿 LPA 濃度の測定については、肝再生過程で有意な変化が認められなかった為、肝組織中の ATX 量をオートタキシン抗体を用いて Western blotting で解析したところ、ATX 自体の検出は可能であったが、肝再生過程において有意な変化はみられなかった。 先行研究によると、ラットに投与した放射線標識 ATX は全臓器の中でも肝臓に多く集まり、その多くは肝非実質細胞である肝類洞内皮細胞に集積していたと報告されている。ATX は様々な臓器の種々の細胞で産生されるとされており、この結果は肝類洞内皮細胞に存在するスカベンジャー・リセプタを介した細胞内への取り込みによるものと説明されている。従って、今回の結果はこの報告を裏付けるには十分でないが、矛盾するという訳でもなく、今後別の視点から検討していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究補助員が中途退職した為その後任を選任中であるが定まらず、進捗が遅延している。
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Strategy for Future Research Activity |
血中 ATX 活性、血漿 LPA 濃度の測定に関しては、検体の採取方法が適切でなかった可能性があり、改めて測定を行ない結果を解析予定である。
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Causes of Carryover |
研究の進捗が遅れている為。
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Research Products
(3 results)