2016 Fiscal Year Research-status Report
糖尿病性心筋症の心筋組織中の終末糖化産物と酸化ストレスの関係
Project/Area Number |
16K09459
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
青木 洋文 金沢医科大学, 医学部, 助教 (10639206)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河合 康幸 金沢医科大学, 医学部, 准教授 (40324157)
中西 宏明 順天堂大学, 医学部, 准教授 (90392274)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | TAGE / TNFα / ニトロチロシン / 酸化ストレス / 糖尿病性心筋症 |
Outline of Annual Research Achievements |
糖尿病性心筋症(DbCM)は、糖尿病患者において高血圧、冠動脈病変、弁膜症を有さないにもかかわらず、心室リモデリングに引き続いて、心不全に来す、社会的にも極めて重要な疾患である。DbCM の原因の一つと考えられる、最終糖化産物(advanced glycation end-products:AGEs)の中でも特に細胞障害性が強いグリセルアルデヒド由来の TAGE(toxic-AGE)の心筋細胞中の発現および心筋での産生を評価すると共に、DMCM の進展にTAGE がどのように関連しているのかを検討する事を目的とした。
DbCM群15例と糖尿病を有しない左室収縮障害を有する患者群15例において、冠静脈内採血における終末糖化産物の一つであるtoxic-AGE(TAGE)と炎症性マーカーおよび酸化ストレスマーカーおよび左室機能の関係を評価した。結果、TAGEと酸化ストレスマーカーであるニトロチロシン(nitorotyrosine:NT)および腫瘍壊死因子α(tumor necrotic factor α:TNFα)はDbCM群にて、非糖尿病群と比較し有意に高値を示した。ヒト右室より採取した心筋のTAGE抗体による免疫染色では、非糖尿病群と比較してDbMC群において強く染色された結果であった。またDbMC群では、TAGE、TNFαは左室駆出率(Ejection flaction:EF)および心房利尿ペプチド(plasma brain natriuretic peptide:BNP)と相関関係を認めた。さらにTAGEとTNFαは強い相関を認めた。しかしNTとBNP,LVEFやNTとTAGEとの明らかな相関は認めなかった。この結果より、TAGEとTNFαはDbCMの心機能障害の程度と相関している可能性が推測された。TAGEはTNFαといった炎症性マーカーを介し糖尿病性心筋症への発展に関係している可能性が推測された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初、対象患者が少なく、症例数を達成できるかが課題となっていたが、1年間で15例ずつの症例が集まった。また心筋生検や採血においても特に問題が起きていないため。
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Strategy for Future Research Activity |
患者から採取した心筋細胞の免疫染色および、心筋組織中のNOX,NFκ-β、MMP、TNFαの発現の解析を行う。糖尿病性心筋症と酸化ストレスおよびアポトーシスの検討については、対象の固定組織標本を用いてアポトーシスの程度を評価する予定である。研究を遂行する上での課題としては、心筋組織の免疫染色に用いる各種抗体の検定、染色性のチェックを十分に行う必要があることと考える。
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Causes of Carryover |
患者の収集に時間を要し、免疫染色検査の進行が遅れた為、次年度使用額が生じた。また学会発表が平成29年度になったため、旅費を使用しなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
患者から採取した心筋細胞の免疫染色および、心筋組織中のNOX、NFκ-β、MMP2および9、TNFαの発現の解析を行うための各種抗体購入と染色用の費用。糖尿病性心筋症と酸化ストレスおよびアポトーシスの検討については、対象の固定組織標本を用いてアポトーシスの程度を評価する予定であり、同様に免疫染色の抗体と染色費用とする。またニトロチロシン測定も同時に行う。成果を海外の学会(The European Society of Cardiology:ESC)にて発表するための旅費に使用する予定である。以上を次年度使用額にあてる予定である。
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