2016 Fiscal Year Research-status Report
光遺伝学的手法を用いたeNOS活性化によるNO合成と血管機能の調節
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16K09520
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
井上 浩一 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 講師 (80345818)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐久間 英輔 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 講師 (90295585)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 一酸化窒素 / 血管内皮細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
eNOSの活性調節に細胞内へのCa2+流入によるCa2+-カルモデュリンシステムが関与しているため、細胞内のCa2+濃度を恣意的に上昇できればeNOSが活性化し、NO産生が増加すると予想された。それを検証するために、まずカルシウムチャネルOrai1を活性化し細胞内Ca2+を上昇する小蛋白分子であるhBACCS2(Ishii et al, 2015 Nat Commun)を赤色傾向蛋白mCherryとともに発現するプラスミドを入手した。このプラスミドをHEK293細胞に導入し、蛍光Ca2+指示薬Fluo-8を用いてCa2+イメージングを行った。蛍光顕微鏡においてmCherryの蛍光を確認することでhBACCS2陽性細胞を同定した。これらの細胞に青色光(480 nm)を当てたところ、Fluo-8の輝度が上昇し、細胞内Ca2+の上昇が検出できた。その後、マウス血管内皮細胞株であるbEnd.3細胞を使い電気穿孔法を用い遺伝子導入を行い、同様のCa2+イメージングを行ったところ、HEK293細胞の場合と同様青色光照射による細胞内Ca2+の上昇が認められた。mCherryだけを導入したコントロールでは、HEK293細胞、bEnd.3細胞ともに光刺激によるCa2+の上昇が認められなかった。これらのことから、外来性の光感受性分子の導入により血管内皮細胞株での細胞内Ca2+の制御ができることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度中に行う予定だった一酸化窒素(NO)の検出は予定通りに進まなかったが、平成29年度以降に行う予定の血管内皮でのCa2+の上昇を検出することができたので、順序は異なったが、おおむね当初の予定通り実験を進行することがていると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
Ca2+流入確認できたので、今後は以下の2つの方法で、NOの産生を検討する。非血管内皮細胞への光刺激でCa2+→hBACCS2活性化→eNOS活性化→NOの作動が確認できた後、内在性のeNOSを持つECを用いてeNOSが活性化し、NO産生がみられるか検討する。念のためこれらの細胞株でeNOSの発現をウェスタンブロッティング法にて確認する。続いて、AchやATPでeNOSを活性化し、上述の方法でNOを検出する。内在性のeNOSの活性変化が比較的簡単にできそうな細胞を選ぶ。続いて、ECにChR2-mCherryプラスミドを導入し、上記同様、まずCa2+の流入をCa2+イメージング法にて確認する。トランスフェクションによる遺伝子導入の効率が良ければNOイメージングとDANによる定量を行う。効率が悪い場合、定量的な解析ができなくなり、NOイメージングのみの施行となる。 また、Ca2+の流入によりeNOSの調節以外の影響があるかどうか、特に全身への影響が考えられるプロスタグランジンやtissue factor、VEGF等いくつかの生理活性物質の生成および放出についてReal-time PCR、Western blotting、ELISAを用いて検討する。
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Research Products
(6 results)