2017 Fiscal Year Research-status Report
セロトニントランスポーター/セロトニン拮抗による急性肺障害の防御機構の解明
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16K09544
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
田中 健之 長崎大学, 病院(医学系), 講師 (30432967)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森本 浩之輔 長崎大学, 熱帯医学研究所, 准教授 (50346970)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 急性肺障害 / セロトニン / 敗血症 / 血管透過性亢進 / 敗血症性ショック |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒト肺微小血管内皮細胞株(HPMEC)を用いて、セロトニン刺激による血管透過性亢進、細胞障害性の評価を行った。HPMEC培養細胞株を単層細胞培養インサートで培養し、セロトニンで刺激したアルブミン濃度を測定して細胞配列の破綻を疑似化して評価した(上清へ移行するアルブミン濃度の上昇を確認して蛋白漏出を評価)。 前年度までの評価では、セロトニン刺激(濃度依存性)で血管透過性亢進の確認を行っており、その反応をベースにFluoxetine(セロトニントランスポーター阻害剤)とY27632(Rhoキナーゼ阻害剤)との共培養での血管透過性を評価した。Fluoxetine共培養ではセロトニンの蛋白漏出への影響は減弱される傾向は得られ、セロトニントランスポーターを介したものであることが示唆されたが、反応にばらつきがあり、条件設定(濃度、刺激時間)などの変更でも均一した有意差が出るまでの結果は得られなかった。Y-27632共培養では、蛋白漏出が減弱され、良い傾向のデータ蓄積ができ、セロトニンの効果にRhoキナーゼが関与することが示唆された。 in vitroの評価と並行して、前年度から臨床検体で評価を実施中である。当院の敗血症性ショックやARDS患者、健常人のの急性期検体を採取して、血漿中セロトニン、血漿中5HIAA(セロトニン代謝産物)の測定を行った。敗血症性ショックとARDS患者は血管透過性亢進、血管内皮細胞障害が顕著に出る疾患で対象として、血漿セロトニンの動態は傾向が不安定な結果であったが、血漿5HIAAの動態が急性期で上昇して、SOFAやAPACHE-IIの重症度スコアと有意に相関していた。ARDSの症例集積が少ないため引き続き症例集積に努める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
in vitroのFluoxetineを使用した実験の結果のばらつきがあり、条件設定(濃度や刺激時間)を再調整することで実験プランの日程がずれ込んだ。そのため、当初次に予定していた細胞接着因子の解析実験開始に遅れが生じている。臨床検体解析は敗血症性ショックの症例は集積順調だが、ARDSの症例が当院で少なく、症例集積にやや難渋している。
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Strategy for Future Research Activity |
臨床検体の症例集積数は前年度よりも数も増え、有意差の検定や重症度スコアとの相関の解析を進める。ARDSの症例に関しても、引き続き症例集積に努める。in vitroの解析に関しては、Rhoキナーゼの経路の関与や細胞接着因子の関与の解析を可能な限り着手する。in vitroの分子病態的な解析と敗血症性ショックやARDSの臨床検体の動態解析を合わせて、血管透過性亢進の病態解析を進める。
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Causes of Carryover |
(理由)in vitroの実験計画で当初予定していたウエスタンブロット、免疫沈降やsiRNA実験の計画がスケジュール的にずれ込んでおり、その試薬、物品購入資金の持ち越しが生じている。(使用計画)上記の予定していた実験を可能な限りスケジュールにのせるため、そのための物品購入の予定である。
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